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思い立って資格を取るまでのお話(26)
ひたすら練習あるのみ
実技試験
筆記試験の全科目合格がわかったので、ここから約4週間は実技試験に向けて練習に集中することが決まった。
実技試験は、「音楽」、「造形」、「言語」のうちの2つを選ぶ必要がある。
「音楽」。指定された曲をピアノ、アコースティックギター、アコーディオンのうちのどれかで伴奏しながら歌う。
「造形」。保育の一場面について、色鉛筆で描く。
「言語」。提示された物語を、保育園の3歳児クラスを想定して、身振り手振りを交えて素話で。
このうち「音楽」と「言語」については、あらかじめ曲や物語が指定されていて、「受験の手引き」にて発表されている。「造形」のテーマや条件は当日発表となる。「造形」については、想像力が試されるからだろう。事前に発表されていたら、その場面ばかり練習すればいいことになり、これでは想像力の試しようがない。
私はこのうち、「造形」と「言語」を選んだ。
理由としては、
習ってはいなかったが、一応ピアノは、音を出すことはできる。楽譜に書かれているコードネームを見て、主旋律とベースぐらいでなら、何とかできる。が、「歌う」と「演奏」が同時となると、自信がない。少々こだわっての表記にしたが、「音を出すことはできても、ちゃんと楽器として演奏しきれている」かも、自信がない(このあたりのニュアンス、伝わるだろうか)。
ギターも、かなりヘタクソなりに弾けはする。が、弾けるのはエレキギターなので、かなりごまかしが効いている部分がある。コード弾きはできるがアルペジオができない。
昔から「1日でらくがき帳のすべてのページを使ってしまうほど」絵を描くことは好き。今も子どもの連絡帳の隅にイラストを添えているぐらい。上手だとは思わない。ただ、描くことは好き。
認可外保育所で働いていたときに、子どもに向けて物語を読む姿を見ていたので、何となくのイメージはつかめる。
このあたりが主なものとなって、「造形」と「言語」の選択に落ち着いた。この選択は受験申し込みの時点で済ませるので、これから変更はできないし、もし一部合格だったとしても、変更することはできない(はず)。
「造形」と「言語」についてを練習すればいいことはわかった。わかったが、具体的にどんな練習をすべきかはわかっていない。そこで、まだ結果が届く前から少しずつ、実技試験の際に注意すべき点をサイトなどで探していた。
ぶっつけ本番? 甘い甘い!
「造形」。思ったより時間がない。油断していると指定時間内に描ききることができないなど、条件を満たさないまま終わってしまう。
「造形」についてはこのような反省点が割と見られた。得意(苦手)だからと後回し、あるいは実技はぶっつけ本番でもいけるだろうと油断していると、まさかの不合格という目に遭う、とも。
というわけで、とりあえず「今の自分が」「何も考えずに」描いてみたらどのぐらい時間がかかるのかをやってみた。テーマも何もまったくの自由。とにかく好きに描いてみて、どうなるか。
携帯でタイマーを実際の試験と同じ45分にセットし、スタート! 下書きを念入りにし、えんぴつの線を消しながら後を追いかけるように色鉛筆でなぞり、確か色は塗り残しがあってはいけないんだったよなと、塗って・・・。
途中で何度か携帯画面を見る。普段の自分よりは十分急いで、かなり雑に描いているつもりが、えっ、もう35分!? それでもまだ、自分が思うものの半分も描けていない。焦って描くも、時間切れ。さらには、いつもの私からしたら「うわ、雑!」と思うような完成度。
逆に今これがわかってよかった。もしこれでぶっつけ本番、今までどおり丁寧にやっていたら、確実に落ちてたわ。
私が描いたのは、これまで勉強してきたノートの表紙にするつもりで、2人の子どもがらせん状になった鍵盤の上を歩いている、というものだったのだが(実際の保育士試験ではこんな設問はないと思われる)、あとから調べた実技試験での条件は、だいたい子ども3人、大人1人の計4人ぐらいは描く必要がある。45分かけて2人も描けていない、さらには「どんな場所か」がわかるよう、背景も描き、なおかつ決められた範囲内はしっかり塗りきらなければいけない。
これは、今までの私なりのやり方ではいけない。早く、かつきれいに描くコツをつかなまければ。
いや、何で私、「造形」を選んでしまったんだろうと後悔した。これならまだ「音楽」のほうがマシだったかもしれない。とはいっても、選んでしまったものは選んでしまったもの。もう変更はできない。
使えるものは使おう!
「言語」。こちらは、もうハナから決めていた。自分の子どもを練習に付き合わせる!
子どもは保育園の、上が5歳児クラス、下が2歳児クラス。それぞれ年度内に6歳、3歳になる。お話しを聞かせる相手は3歳児想定。上の子はちょっと過ぎた感はあるけれど、適齢なのが一人いるじゃないか!
というわけで、上の子に、
「ちょっとね、お母さん、練習したいことがあるんだ。付き合ってほしいんだけど」
と、お風呂からあがってきて寝るまでの間、かつ、旦那が帰ってきていなければ、毎晩子どもの前で練習をする。最初こそ「お母さん、何やってんの?」と笑いながら見ていた上の子が、次第に
「今日も『お話し』やって~」
と、リクエストしてくるようになった。
こちらは物語が指定されているので、とりあえず7月3日の試験の日までは指定されたお話しの繰り返しになる。が、もしニーズがあれば、試験以降もやってもいいかもしれない。もちろん、指定された物語以外で、制限時間も度外視で。
子どもとのコミュニケーションにもつながるぞ♪
上の子には、必ず評価を求めている。
「声の大きさはどうだった?」
「お話しの内容、わかった?」
「早口じゃなかった?」
「お母さんは、○○(子ども)たちのほうを見てた?」
さすが現役保育園児、課題となっている物語はすべて知っているらしいが、それでも毎度、
「声がうるさい」
「お母さん、ずっと壁のほうを見てたよ」
など、適切にアドバイスをくれる。
こちらも制限時間があるのでタイマーを設定してやっているが、だいたい時間をオーバーしてしまう。じゃあもっと簡潔にできるところはないか? 逆に削ってはいけないのはどこか? こちらは事前に物語が指定されているのだから、それなりに対策ができるかもしれない。
でも、やりすぎには注意
実技試験の練習は、「言語」だと長すぎるし、「造形」は逆に足りなくて、QuizKnockと学ぼうの動画をうまく使えない。別に動画どおりにしか勉強をしてはいけないわけではないから、時間配分などは無視してやっていいのだけど、自分が何だか落ち着かない。
ので、筆記試験が終わってから、「QuizKnockと学ぼう」は、見なくなってしまった。あんなに活用していたのに。また何かの機会に利用しようと思う。
とりあえず、過去に出題された問題を参考に、あるいは子どもたちの保育園行事を思い出して、さまざまな場面を描けるように、描いて描いて描きまくる。
あ、合格したらQuizKnockにも何らかの形で報告をしよう。時々アンケートに答えたりしてたし、何より「本当に役立った」ので。
たくさん描く!と言ってみたものの。描くのは毎日1枚が限界。サイトでは「1日2枚ぐらい描いていればいける」とあったので2枚描こうとしたら、1枚目の途中で腕、特に手首が疲れる。もっと描きたいが、腱鞘炎になる可能性も考えておかなければ。練習で腱鞘炎を患ってしまった、あるいは「言語」では声を張り上げすぎてノドを痛め、本番では力が発揮できなかったなんて本末転倒は避けたい。
とすると、1日1枚が限度だけど、その分「様々なシチュエーション」を思い描き、人の動きはどんな感じかを、「ある程度パターン化」しておく必要がありそうだ。
何となくこういった描く際のコツがわかってきたので、あとは力は入れすぎず、ひたすら練習するとしよう。
そうだ、色鉛筆も新調しておこう。今使っているもので挑むつもりだったけれど、練習で使いまくって、物によってはかなり短くなっている。まったく新品だと使い慣れていないということもありそうだから、少しは使って慣らしておいて。よく使う色は2本持っていくとよいという声もあったので、基本は新しいもの、サブで今まで使ってきた短いもの、ぐらいで。縁取り用、塗り用で芯の太さを変えておくのもいいとあった。
結局何がなんだか整理がつかなくなったので、これまでのテキストと同じ会社の実技対策用テキストも買ってしまった。これでコツをつかみつつ、ここまでは家にあった紙に練習をしていたが、画用紙、ケント紙も買ってしまった(試験当日はケント紙)。
テキストにも例題は載っていたから、とことん、でも腱鞘炎には気をつけて描きまくるのみだ。