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思い立って資格を取るまでのお話(21)

ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!

えっ、思ったよりも

 2022年4月。保育士試験1週間前。ようやく試験対策用テキストについていた予想問題にたどりついた。本番と同じようにマークシートの解答用紙がついているので、塗りつぶしの予行練習にもなる。
 1日で全科目をやるのは大変なので、試験のとき同様2日にわけてやったかもしれない。

 予想問題は試験のときと同じ科目の順になっていて、まずは1日目の4科目。
 「保育の心理学」。え? 取れたの半分? 
 「保育原理」。比較的得意な科目が、これも半分。
 「子ども家庭福祉」、「社会福祉」。これも半分ずつぐらい。福祉系が苦手なので、これは納得がいく。得意な科目が思ったより点が取れていなかったのを基準と考えたら、よく取れたほう。
 
 ちょ、ちょっと待って。え? 内容一巡用のテキストに従って勉強してから「保育原理」が合格点に届かなかったことって、ないんですけど? 「保育の心理学」だって、内容一巡の段階では合格点に届いていたんですけど? 
 福祉系のみならず、その他の科目が合格点に届いていない。
 
 この現象は2日目の科目でも同じ。
 「教育原理」、「社会的養護」。この2つは同じ時に合格しないと、たとえ片方が合格点に達していたとしても不合格と見なされてしまう。が、私の場合、そろって合格点未満。
 「子どもの保健」、「子どもの食と栄養」。これはかろうじて合格点。
 「保育実習理論」。最も得意といえる科目が、まさかの合格点に届かず。

 うっ、うそっ!! てか、予想問題難しすぎない? 試験前に使うと見込んで、わざと難易度あげてる?? 

6割(12/20か60点か)取れないと不合格なのに!

 予想問題は2回分あったので、もう1回分も同じように解いてみる。結果は、1回分と大して変わらない。もう2回分の2日目を解くのもイヤになってしまった。
 実際の過去問題を見たってこんなに難しく感じなったのだけど。なんだか急に難易度あげてきた? と思ってもう一度ホームページで過去問題を見ようにも、「保育の心理学」の一巡ごろから、2回前(つまり1年前)の分しか閲覧できない(★1)。 なので「保育の心理学」以降の科目と福祉系の科目は、一巡の家庭で過去問題をあまり解くことができておらず、そこが不安要素でもある。
 それ以上にあまりに点が取れなさ過ぎて、予想問題を解く気が失せてしまった。

「ここまでやってきたこと」でできた自信

 私、何のために勉強しているんだろう。
 ここまで(手ごたえがないなりにも)割と順調に勉強を「進められている気になって」いた。こだわって「気になっていた」と言うのには、自分としてはできているつもりでも、他人から見たら全然できていないのかもしれないから。自分への「できたつもりになってんじゃねーよ」の戒めの意味で。
 本当に、できたような気になっていただけだったんだ。
 試験まで1週間をきった、直前だというのに、ここにきてモチベーションががくっと下がった。直前予想問題で点が取れていないんだから、当日の試験だって点が取れないに決まっているじゃないか。それでも、と一縷の望みを託して、パソコンで出版社名と資格名と、「難しい」をつけて、検索をかけてみた。Q&Aのページが出てきて、回答には、

「実際の試験の難易度はこのぐらいだと思いますよ」
 
 そんなことないって! 絶対にテキストのほうが難しいって! だって、過去問題はもう少し点が取れているもん・・・
 
 ん?
 
 何で私、テキストのほうが難しいって言い切れるんだろう?
 ふと我に返って思い出したのは、これまでの過去問題を解いてきた感触だ。最初の点数が取れなかったのは仕方がないとして、その後、「完全にダメだぁ!」って思ったことがあったか? ここまで1年かけて勉強してきて、過去問題も解いてみて、その過去問題の出来が極端に悪かったことは、あったか?
 
 私が解いていた、あれは何だったんだ? 予想問題が難しい? 難易度はその「難しいと感じる」ぐらい?? じゃあ、私がこれまで解いてきた過去問題は、初心者向けに簡単めに設定してあるということか?
 
 冷静になって考えてみたら、やっぱり予想問題のほうが少し難しめに設定してあるんじゃないかという結論に至った。何だ、ビックリさせないでよと思ったが、心理的なダメージとしては十分で、公開されている過去問題も少なくなっている今(★2)、じゃあどうするかと考えて、暗記が必要な問題を飛ばして、もう一度、試験対策のテキストをやってみることにした。

 暗記系の部分を飛ばしたのは、科目関係なく表などをつくって、そこにあることは最後ギリギリに詰め込む作戦を立てたから。
 この表は電車の中でも、当日会場でも使える。人名と功績。法令などが制定された順。「養護」と「教育」のうち、「養護」の目標(2つのうち1つを覚えておけば、該当しないほうは残りのもうひとつ作戦)。エリクソンのライフサイクル論。音楽の用語。相談援助の流れ。児童福祉施設等に配置が必要な職員・・・。とにかく少しでも不安があって一覧表に起こせるものは、みんな起こした。作っている段階でも少しは知識として定着するかもしれないと思って。

(★1)(★2)それ以前は、もう少したくさん閲覧することができていた。ちなみに今も、前年分までしか閲覧することができない状態になっている(2022年8月時点)。

最後の悪あがき

 子どもよりも少し早く起きたなら、たとえ10分でも、一問一答。午前中、頭が回りきっていないときでも一問一答。もう科目は関係なく、これをやっておきたい! というのをリストアップしてあったので、それに沿ってひとまずやっていく。一応、リストアップしてあった分はすべて復習はできた。できたが、それでも不安でいっぱいだった。
 自分の中で予想問題のほうが難しいんだと結論づけることはできたけれど、それでもまだ「もしかして試験自体の難易度があがっているのかもしれないじゃないか」と疑う部分があって、「どれだけやったらどの段階に到達するか」が、実感としてつかめない。「これだけやったんだから大丈夫」という言葉も、自分で自分を安心させるために使いはするけれど、実はまったく先が見えてこない。
 過去何年間かの合格率が、最初に使ったテキストに載っていた。この合格率というのはすべてを一度で合格した人の数字で、さらに科目免除者は除かれている。その状態で、多少の前後はあるがだいたい20%前後。5人に1人。
 5人に1人は、こんなに難しいのを一度で突破しているのか! と思うと、その人たちはいったいどのぐらい勉強したんだろうとか、きっと物覚えがいい人にちがいないとか、もっと効率のいい勉強方法があったにちがいないとか・・・。今さらあれもこれもとないものねだりをしても、どうにもならないことはわかっている。わかってはいるけど!
 
 試験前日。ギリギリまでの悪あがき作りは、1日目の分までしかできなかった。あれもこれもできていない! が次々と出てきて、そこに手を取られてしまって。むしろ2日目のほうが、音楽用語など覚えきれていないものがたくさんあるのに。明日帰ってきてからでは、きっと疲れきっていると思うのに。
 前日に夜更かししてかえって体調の問題で試験を受けられなかった、ということを避けるため、この日はいつもと変わらないぐらいの時間で寝た。私の「いつもと変わらないぐらいの時間」とは、子どもたちと一緒に寝落ちること。明日絶対に忘れられないもの・・・試験対策のテキストと一問一答、直前暗記用のリスト、えんぴつ数本とシャープペンシル2本、消しゴム2個が入った、シンプルなペンケース。これらがいつも持ち歩くカバンに入っていることを確かめてから。
 だから、子どもも旦那も、「明日とあさって、お母さんはお出かけなんだって」という以外、いつもとほとんど変わらないように思った(はず)。普段のようにちょっとしゃべったり、下の子のボディプレスを食らいながら、布団でゴロゴロしているうちに寝つく。
 そんな、いつもの夜だった。

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