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思い立って資格を取るまでのお話(23)

同士がこんなにたくさん!

 翌朝。2022年4月23日。いつもどおりの(私にしては軽めの)食事をして、現地に到着してもたっぷり時間が余るぐらい前に、家を出た。
 
 コンビニで朝ごはんの足りなかった分としてチキンと、途中小腹がすいたときのおやつ用にビスケット、昼ごはん用のサンドイッチと飲み物を購入。チキンだけ駅のホームで急いで口に入れる。電車が来るまでと電車に乗ってからも、一問一答をひたすらやり続けた。
 やはり、「ただの流し読み」しかできていないような感覚になる。この冊子で見るのと、試験問題の冊子で見るのと、選択すべき回答は異なってくるはずなのに、「この問題の正答は○番」という覚え方をしてしまって、ダメダメ! ちゃんと内容で覚えて! となる。 
 一問一答は手軽さはある。でも、私はあまり好きじゃない。

 こういうとき、交通機関理由の乱れによる遅延は考慮されない(と、前もって受験票には書いてあった)。乗り換えのターミナル駅で、予定している電車の電光掲示板を見る。どうやら遅れは発生していないらしい。もしこちらに遅れがあったら、もうひとつ別の経路で行かなければいけない。
 
 ターミナル駅で乗り換える。試験会場は普通電車しか停まらない駅なので、比較的すいていて、座ることができた。ここでも私は、一問一答をひたすらやり続ける。
 ふと、1人分あいて隣に座っている人の様子が目に入った。付箋がたくさん貼られた、分厚くて大きな本。「エリクソン」の文字。同じ電車に乗っている・・・。あっ、同じ試験を受ける人!
 よくよく周りを見ていたら、紙をじっと見つめている人、私みたいに文庫サイズの本で赤いシートを片手に持ちながらいる人。そしてその人たちは皆同じ駅で電車を降りた。私も、その駅で。
 まだ時間としてはだいぶ早いのに。この時間でも、こんなに一緒に受ける人がいるんだ! と思うと、うれしくもあり、急に緊張もしてきた。
 
 合格の割合は、だいたい5人に1人でしょ? この会場だけでも結構な人数だよ? そのうち、受かるのは5人に1人・・・。 
 
 一緒に電車を降りた人全員が、初受験の人ばかりとは限らない。保育士試験は科目ごとの合格も3年間有効で認められているから、「保育の心理学」のみ受ける人や、他の科目でも早めに来て自習していようという人だっていたかもしれない。あのときの駅から会場へ向かううちの5人に1人、というのは正確に言うとちょっとちがってくるかもしれないが、他の人たちが「できる人」に見えてきた。
 
 落ち着け、私。いつも学校の試験とかでも、ギリギリで思わぬ力を発揮して、詰め込み詰め込みで何とかやってこれたじゃないか(よくない。そして、何年前の話だ)。みんなができそうだからって、ギリギリまで粘ることは諦めるなよ!
 そう言い聞かせて会場入り。会場は大学、久しぶりのこの感じ。まだ、周りが誰も知らない人同士だったのが幸いだ。終了後の「ねえねえ、どうだった!?」でキャッキャして時間が削られる心配がない。
 試験開始の事前案内まで、とにかくひとつでも覚えようと、必死にリストや一問一答を見て過ごした。

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