友達のちょっといい話 2
ヒーちゃんはマーくんのことが大好きでした。でも中学校の3年間、そんなこと一言も言えずにいました。
卒業式の日、ヒーちゃんはちょっと悲しい気持ちでいました。もうマーくんと毎日会うことができなくなってしまうからです。
卒業証書を持って家に帰ろうとしていたら、クラスメートのターくんが「はい、これ」といって学生帽を渡してくれたのです。
「あいつの学生服のボタンは、もう誰かにやっちゃったらしいんでさ、代わりに帽子をもらってきたから」というのです。
ヒーちゃんは、大好きな子の帽子をもらったことも嬉しかったけど、ターくんの優しさがもっと嬉しいなと思ったのでした。