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がん告知後、情報収集を間違えないために【甲状腺乳頭がん】

2023年10月に甲状腺乳頭がんを告知された私が、3カ月後の手術までをどう過ごしたか。

今回はメンタル変遷の②、自分にできることを【がんばる期】である。図にするとこんな感じ。

「メンタル変遷」と書いたものの、②【がんばる期】は精神面よりも「実際に何をしたか」なので、行動面を中心に書いていく。

▼自身の簡単なプロフィールも含めた、がん告知の初回記事はこちら

 ▼前回の記事 メンタル変遷①【ショック期】はこちら

がん告知から10日あまり経った、10月末の週末。

ひととおり落ち込んである程度落ち着いた気がしたので、前回書いたように、自分がかかった甲状腺乳頭がんについて、しっかり調べて知識をつけようと思った。
 
何ごとも「まずは敵を知ること」から始めないと。


情報収集は順番が命!

がんをはじめ重大な病気になった場合、体調悪化や死への恐怖があるのはもちろん、「どの治療を受けるか、納得して選択すること」も大きな山場であるように思う。

とくにがんについては、「標準治療を避けたばかりに悪化した(亡くなった)」などの話も聞く。

とはいえ、がんを告知されて冷静さを欠いてしまいがちな状態。「◎◎を食べただけでがんが消えた!」という、いわゆる“トンデモ情報”に惑わされてしまうかもしれない。

とにかく、情報収集の段階で間違えてはいけないと思った。

私自身は「この順番で調べるべきかな」と感じている。あくまで個人的な考えで、どこかで推奨されているものではない。

①国立がん研究センターや行政など公的な情報
②病院のサイトの情報
③医者個人の見解(SNSなど)
④個人の体験(ブログなど)

とっつきやすいのは④だが、ここから入ると危険。
たまたま奇跡的に助かった人かもしれないし、逆にその人の予後が一般的な経過よりも悪くて、無駄に怖くなってしまうかもしれない。

ベースの体は十人十色。あくまでその人1人のケースでしかないし、そもそもその情報を発する人は、医療の素人だからだ。
(だからこの記事も、あくまで参考程度にしてね)
 
③だって、医者とはいえ考え方はいろいろ。コロナワクチンだって推奨派もいれば慎重派(反対派)もいる。
 
まずは①で病気の全体像をつかんだうえで、②→③→④で「こういうケースもあるんだ」「この人はこうだったんだな」と細かい情報に接したほうがよさそうだ。

はじめに手に取った本

じゃあ真っ先に国立がん研究センターのサイトに行ったかというとそうではなく、私が最初に手に取ったのは『最高のがん治療』という書籍だった。

 がん専門家3人による共著で、2年ほど前に、信頼できる編集者の友人に薦められて読んでいた。

がん発生のメカニズムから、標準治療こそ最高の治療法である理由、トンデモ療法の見分け方、がんになったときにどの情報を見ればいいかがわかりやすく書かれている。

これを読んで「この本に書いてあることは信頼できそうだ。もし自分ががんになったら、これを読み返そう」と思ったため、まず本書を開いた。
 
あくまで私がそう思ったのであり、絶対にこれが正しいというつもりはない。現に、本書のレビューもさまざまだ。

国立がん研の「がん情報サービス」

本書にて、信頼できる情報源のトップに「国立がん研究センター」と、当センターの「がん情報サービス」が挙げられていることを確認し、サイトへと進んでいった。

また、同じく信頼できる情報源として挙げられていた「キャンサーネットジャパン」に掲載されていた動画も見た。

ひと通り調べて「うん、死なないな」

これらを3~4時間かけて熟読&視聴した。
受験勉強や仕事では考えられないくらいの集中力だったと思う。しかも、びっくりするほど知識をどんどん吸収している感覚があった。

やっぱり、命がかかっているだけある。

調べ始める前は「悲観的な情報があったらどうしよう」と怖かったが、ひと通り調べ終わって「うん、死なないな」と思った。

甲状腺乳頭がんはその進行の遅さかから、「早期発見・早期治療」「若いほうが進行しやすい」という一般的ながんの常識が当てはまらない。

5年生存率は98%以上で、しかも若いほど予後が良い。再発や転移の確率も、他のがんより低いとのこと。

もちろん例外はあるけれど、基本的に「甲状腺乳頭がんが原因で死ぬことは、ほとんどない」と言ってよさそうだ。従来どおり「80年生きる計画」で考えてもいいのかもしれない。
(もちろん、他の病気や事故に気をつける前提で)

大きな安堵感をおぼえた。

全体の中で自分の立ち位置を知る

これらの情報を調べて甲状腺乳頭がんについて、いろんなことを知った。

  • 乳頭がんは、甲状腺がん全体のうち90%を占める(日本の場合)

  • 55歳未満か55歳以上でステージの分け方が変わる。55歳未満なら他に転移していても「ステージ1」

  • 手術が第一選択で、それをせずに放射線治療や抗がん剤をすることはない(例外あり)

  • 手術で切り取る範囲は概ね「全摘出」か「片側(片葉という)」の2パターン。がんの部分だけくり抜くような方法ではない

  • 手術にはメスで切る一般的なものの他に、内視鏡による術式もある。こちらのほうが傷跡は目立ちにくい

  • がんの大きさが1センチ未満の場合、すぐ手術をせずに経過観察をする

などなど。
これらを知ると、甲状腺乳頭がん全体の中での、自分の立ち位置が見えてくる。

がんを告知された際の、先生の説明はこうだった。

●命に関わるものではない

●甲状腺のがんのうち、「乳頭がん」という種類で、非常に進行が遅い

●でも治療はしたほうがいい

●治療法は手術。私の腫瘍は大きさが1.9センチあり、2センチを越えると甲状腺を全摘出するが、私は腫瘍のある左半分の切除で済む

●甲状腺の半分がなくなるので、術後に甲状腺ホルモンが十分に出せるかどうか様子を見て、足りないようなら補う薬を一生飲む

●甲状腺の近くに、声を出すのに関係のある神経(反回神経)があるので、手術でそこに触れ、しばらく声がかすれる場合がある(時間とともにおさまる)

https://note.com/rokko_izumi/n/nfccf4a6d14e5

たしかに、必要なことはきちんと伝えてくれている。ただ当然「私の」ケースを説明してくれているため、それが「全体の中でどのレベルか」がわからない。

たとえば「でも治療はしたほうがいい」という発言は「いや、がんが見つかったら治療するの当たり前やろ」と思ったけど、治療をせずに経過観察していい大きさがあるからこその言葉なんだ!とか。

そして全体が見えてきたことで

  • ステージの説明なかったけど、私はステージ1で間違いないよね?

  • がんの大きさが1.9センチで、2センチを越えたら甲状腺を全摘出とのこと。私は半分の切除でいいと言われたけど、手術までの3カ月で1ミリでも大きくなったら全摘になるの?1ミリくらいなら大きくなり得るのでは?

  • 手術を内視鏡ですることはできないか?できれば傷が小さいほうがいい

など、むくむくと新たな疑問が湧いてきた。

それに、がん告知の日に、リンパ節や肺に転移がないかどうか検査したCTの結果も知りたい。急を要する結果なら連絡があるとはいえ、何もしなければ2か月後の12月中旬まで結果がわからないのも、もどかしい。

よし!もう一度外来に行って、いろいろ質問して疑問を解消しよう。
ちょっと「めんどくさい患者」と思われるかもしれないけど、やっぱりちゃんと納得したいから。

こうして11月半ばに、同じ先生の外来を取ったのである。

*何度も言いますが、これは私が個人的に「いいな」と思った方法です。絶対に正しいわけではありません。これを参考に、みなさんがご自身で主体的な判断をできれば幸いです。

<たぶん続く>

▼前回の記事はこちら


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