初めての東京(目黒)
初めて上京した。
私の田舎では、テレビ出演のタレントさんは有名人である。
有名人の方々が、「目黒」と言われていることをテレビで何度か見ていた。
上京したら「目黒」は外せないと思っていた。
時刻表の地図で「目黒」の場所は確認していた。
東京初心者である私は、まず、東京駅に行くことである。
東京駅は私の起点であった。
「山手線に乗れば行ける」
このことは分かっていたので、とりあえず乗った。
神田、秋葉原と過ぎた頃、遠回りしていることに気づいた。
山手線は円形に回るので、いつか「目黒」に到着できると安心していた。
ウトウトしていた。
アナウンス「め・・」と聞こえた。
こんなに早く着くなんて!
慌てふためいた。
駅を出た。
線路沿いに歩いた。
何もない!
違う方向に歩いてしまったに違いない!
駅まで戻り、線路と直交する道路を歩いた。
芸能人のいう「目黒」はただの住宅街だと思った。
田舎に戻り、友人たちに自慢した。
「目黒には何もない!」
「芸能人の言うことに冴えはない!」
数年後、テレビに「目白」が映し出された。
顔から火が出そうだった。
「目黒」と「目白」が違うことを、この時初めて知ったのである。
目白御殿があることも初めて知った。
今も恥ずかしい!