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初めての上京(スカイメイト)
初めて「飛行機」で上京した。
搭乗する前に酷い目にあった。
当時、「スカイメイト」という仕組みがあった。
「スカイメイト」というのは、若者限定当日割引システムである。
これを利用するためには、事前に登録し、写真付きの証明書を作ってもらう必要があった。
用意周到な私は、写真付き証明証は準備していた。
以前行ったことがある板付空港である。
カウンターのお姉さんに話しかけた。
「スカイメイト使いたいんです」
「はい、証明書をご提示ください」
「はい、これですね」
二つ折りの証明書を開きながら尋ねられた。
「どちらへ行かれますか?」
「東京です」
「羽田ですね」
「何時ごろの便ですか?」
「できるだけ早い便を希望します」
「わかりました」
お姉さんは二つ折りの証明書を見るとすぐに固まった。
「本人ですか?」
「はい」
何か疑われたようである。
「本当に本人ですか?」
「はい」
お姉さんは写真を見ているようである。
思わず尋ね返した。
「何か変ですか?」
「写真とあまりに違うので!」
当然である。
丸刈りの写真である。
ふっと気づいた。
あの日から一度も散髪に行っていない。
髪型が違うだけで疑われてしまった。
「年齢をお願いします」
「ちょっと待って下さい」
「年齢ですよ」
「今何年ですか?」
「昭和○○年です」
「昭和◇◇年生まれだから---」
私は計算を始めた。
誕生祝いなど貰うことも無くなっていた。
年齢は知らないし興味もなかった。
「疑われますよ」
「.....」
「学生証はありますか?」
「はい」
学生証を提出した。
「本当に勉強したんですか?」
「.....」
「今回は認めます」
「ありがとうございます」
「次回はちゃんとしてください」
「どうもすみません」
今だったら
「お姉さんの魅力に緊張しました」
と言える。
当時の私は純情すぎた。