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社長以外の取締役は社外取締役

[要旨]

6月にコーポレートガバナンスコードが改訂され、東証プライム市場に上場する会社は、3分の1以上の取締役を独立社外取締役にしなければなりません。その結果、社長以外の取締役がすべて社外取締役という会社も現れましたが、そのような体制は、健全性も高くなると考えれます。


[本文]

日経ビジネス2021年10月4日号に、6月に改訂された、コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)に関する記事がありました。それによれば、「プライム上場の支配株主のいない会社には、独立社外取締役を取締役の3分の1以上に、支配株主がいる会社には、半数以上にすることを求めている」そうです。

ちなみに、「独立社外取締役とは、グループ企業や主要な取引先の役職員ではないなど、独立性のある社外取締役」のことであり、「支配株主とは、オーナーなど50%以上の議決権を持つ株主」のことです。ところが、上場会社としては、独立社外取締役になってもらえる人が少なく、この改訂されたコーポレートガバナンスコードを守ることは、なかなか難しいようです。

その結果、社内取締役の数を減らすことによって、社外取締役の比率を高めるという対策を行っている会社が多いようです。そのため、前述の日経ビジネスの記事によれば、「今年7月初めの東証上場会社3,681社のうち、83.5%の会社は、取締役数が10人以下」になっているそうです。中でも、極端な会社は、FOOD&LIFECOMPANIES(旧あきんどスシロー)で、社長以外の8人の取締役は、全員、社外取締役だそうです。

一般的な会社では、社長と取締役の関係は、社外取締役を除き、社長とその部下という関係ですが、F&LC社では、社長が他の取締役全員からチェックを受けるという関係になっています。ただ、法律上は、取締役は会社(=株主)からの委任を受けて、意思決定や業務執行を行う役割であるということを考えれば、F&LC社のような取締役会が、本来のあり方だと、私は考えています。

日本では、これまでは、取締役は、論功行賞で得るポストであり、社長はサラリーマンのゴールと考えられる傾向にありましたが、その結果、役員たちは株主の意思をあまり汲み取らず、社長のご機嫌伺いばかりに終始し、社長が裸の王様になってしまうという例が多発していました。そのようなことから見れば、私は、F&LC社の体制は、健全なあり方であると考えています。

2021/10/9 No.1760

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