純粋持株会社と事業持株会社
[要旨]
持株会社とは、会社の資産のうち、子会社の株式の取得価額の合計額が50%を超える会社であり、自らも事業を営んでいる持株会社を事業持株会社、株式の保有だけをしている会社を純粋持株会社といいます。
[本文]
前回は、社内カンパニーとの対比から、持株会社について説明しましたが、今回は、持株会社について、もう少し詳しく説明します。まず、親会社と子会社の定義ですが、日本の会社法では、他の会社から議決権の50%を超えて保有されているなど、その会社から実質的に支配されている会社を子会社と定義しています。そして、支配している側の会社を親会社といいます。
つぎに、持株会社ですが、親会社は子会社の株式を所有し、かつ、子会社を支配してはいますが、それだけでは持株会社ということにはなりません。日本の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)では、会社の資産のうち、子会社の株式の取得価額の合計額が50%を超える会社を、持株会社と定義しています。さらに、持株会社のうち、自らも事業を営んでいる会社を事業持株会社、株式の保有だけをしている会社を純粋持株会社といいます。
例えば、現在は、ソニーは、音楽事業、金融事業を営む子会社などを支配しながら、自らもエレクトロニクス事業(厳密には、エレクトロニクス事業の本社間接機能、以下同じ)を営んでいる事業持株会社です。(正確な数値は把握していませんが、2020年3月期のソニーの総資産約3.4兆円のうち、主に子会社などの株式と思われる「関係会社株式」の計上額は、約2.1兆円となっています)(ご参考→ https://bit.ly/34jfEyK )
しかし、来年4月に、ソニーは、本体で営んでいる事業を、2020年4月に設立した子会社に移管し、ソニーそのものは、ソニーグループと商号を変えて、純粋持株会社になるようです。(ご参考→ https://bit.ly/37unI1L )ソニーは、これまで、本体と子会社によって、複数の事業に進出しているということは知られていますが、グループ傘下会社を統括する機能を持つ純粋持株会社と、事業を直接担う事業会社に、明確に分かれることになります。(この記事は、理解しやすさを優先するために、一部、正確でない記述がありますので、あらかじめご了承ください)