売掛金の遅延は社内で情報を共有する
[要旨]
売掛金の回収遅延については、常に、状況を把握し、社内で情報が共有できるようにしておくことが必要です。さらに、それに基づいて、直ちに販売担当者が遅延している相手の状況を把握し、その結果をもとに、今後の対応方法を社内で決定します。このような迅速な対応が、会社の損失を少なくすることにつながります。
[本文]
前回は、回収が遅延した売掛金は、初期段階は販売担当者が、回収懸念がある段階は専門の担当社が管理することが妥当であり、その役割分担を社内規定などで明確にしておくことが妥当であると述べました。今回は、売掛金回収が遅延したときはどう対処するべきかを説明します。
まず、売掛金が支払期日に支払われなかったときは、その情報を、経理部門、販売部門、役員などで共有できるようにしておくことが大切です。そして、まず、販売担当者が遅延している相手の状況を調査し、もし、事務上の問題であったり、すぐに遅延が解消するようであれば、その旨を社内に報告し、幹部、または、経営者の判断を仰ぎます。その結果、通常通り取引を継続するか、または、取引額を減らすなどの方針を決めるとよいでしょう。
一方、直ちに遅延の解消が困難ということであれば、これも、幹部従業員、または、経営者に判断を仰ぎ、遅延解消に時間を要しないようであれば、管理担当者を販売部門のままとするか、遅延解消に時間がかかる見込みであれば、管理担当者を回収専門の担当者とするとよいでしょう。また、遅延している相手が、倒産など、外見的に支払不能になったことが明らかなときは、直ちに、回収専門の担当者か、役員などが対処することになるでしょう。
ポイントは、売掛金の回収の遅延状況の把握、それへの対処、そしてその顛末などを、常に社内で共有し、迅速な対応ができる状態にしておくことです。遅延が起きたにもかかわらず、それを一部の人しか把握していなかったり、販売担当者が把握していても、直ちに遅延している相手の状況を調査したり、解消を依頼しなかったりということにならないようにすることが大切です。
迅速な対応ができる体制が整っていなければ、回収の機会を逃し、損失を大きくしてしまう可能性が高くなります。そうならないようにするためにも、前回、説明したように、体制整備と、担当者の明確化を行っておくことが、肝要です。また、経営者も、回収遅延には迅速に対応しなければならないという意識付けを、従業員たちに働きかけていくことも必要でしょう。
2022/1/23 No.1866