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勝って兜の緒を締させるために必要なこと

[要旨]

業績が下がったときに、従業員の方に注意喚起することだけであれば、容易に実行することは可能ですが、その根拠として、きちんとした数字を示さなければ、説得力のあるものとはならないことから、月次での業績の確認を迅速に行うことができるような体制の整備をしておくことが大切です。


[本文]

経営コンサルタントの小山昇さんのメールマガジンを読みました。要旨は、小山さんが社長を務める会社(株式会社武蔵野)は、ダスキン武蔵野も運営していますが、同社は、2018年に、創業以来の最高益となったそうです。前年比113%の成長で、純利益が約4億円となったことから、その利益を、従業員の方に新しい体験をさせるために使おうと考えたそうです。そこで、現場からあがってくる要望を、小山さんはほとんどすべて決裁したそうですが、その結果、本業が手薄になったので、業績が下がり始めたそうです。

小山さんは、業績が下がることは予想していたものの、実際の業績悪化は予想を超えるものだったので、急遽、本部長職以上の従業員の方たちを集め、業績のグラフを見せ、賞与を減らすと伝えたそうです。その結果、従業員の方たちは、本業に身を入れて働くようになり、結果として、2019年の経常利益は前年を上回ることができたそうです。小山さんのメールマガジンの主旨は、業績があがると、従業員の方たちも油断するので、きちんと兜の緒を締めさせなければならないということです。

私も、小山さんのいう通りだと思うのですが、さらに注目したことは、小山さんは、従業員の方たちに、兜の緒を締めさせる方法はたったひとつであり、それは、兜の緒をしめないことを、従業員の方たちのデメリット(賞与の減額)にすることだと、述べておられることです。これについても、多くの方がご理解できると思いますが、小山さんのように、従業員の方に、「業績が下がっているので、賞与を下げる」と伝えることができる会社は、実際には多くないと思っています。

なぜなら、これも何度もお伝えしていますが、前月の業績を翌月10日までに把握できている会社は、割合としては10%程度しかないからです。「兜の緒を締めなさい」と指示するだけであれば、それほど難しくないですが、数字で示した根拠をもって伝えることができる会社は、前述のとおり、あまり多くないというのが実態でしょう。したがって、最低限、1か月ごとの業況の把握は、とても大切であると、私は、小山さんのメールマガジンを読んで、改めて感じました。

ちなみに、小山さんが社長を務める武蔵野さんは、月次どころか、毎日、1日単位で業績を把握できるような仕組みが整備されているそうです。もちろん、収支を把握するだけで業績が向上するわけではありませんが、ライバルと差をつけるためには、収支状況を迅速に把握することが大切ということは、武蔵野さんが実証していると思います。

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