リスクへの備えが利益の増加につながる
[要旨]
ビジネスにはリスクがともないますが、リスクへの備えを行っていない経営者も少なくないようです。その理由は、リスクへの備えはコストがかかる活動ととらえられがちだからのようです。しかし、リスクへの備えがなければ、より大きな損失が発生してしまいますので、リスクへ備えつつ、販売活動に注力することが大切です。
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前回まで11回にわたり、売掛金回収について述べてきましたが、今回は、そのまとめをしたいと思います。ビジネスを遂行する際は、リスクがともなうということは、どのビジネスパーソンも理解していると思います。そこで、売掛金が回収できなくなるリスクが存在することも、理解されていることになると思います。ところが、売掛金の回収が危なくなって困る会社の多くは、回収できないことにも困っていると同時に、どう対処すればよいかがわからずに困っていると、私は感じています。
前述のとおり、ビジネスにはリスクがともなうわけですから、事業活動の対象には、リスクへの備えも含まれています。しかし、事業活動は販売活動だけに終始している会社が多いようです。では、多くの会社がリスクへの備えが疎かになってしまう理由にはどのようなものがあるのかというと、利益を得る活動は販売活動だけであると考えてしまう方が多いからだと、私は考えています。そのことは、リスクへの備えは利益を得る活動ではなく、逆に、コストを増やすことになるという考えにつながっていると思います。
でも、何度も繰り返していますが、ビジネスにはリスクがともなうわけですから、リスクへの備えは欠かせません。そして、リスクに備えることにコストがかかるとしても、そのコストは、リスクに備えなかったことで発生するであろう、損失よりは少ないでしょう。また、リスクに備えている会社の方が、販売活動も果敢に挑むことができるものと思います。
もちろん、経営者の方がリスクに敏感になりすぎることは望ましくありません。したがって、どこでバランスをとるかが重要なポイントです。繰り返しになりますが、ビジネスを発展させるためには、売掛金の回収不能などのリスクを見込み、それに備える体制を整備しながら、販売活動に注力することが最善であると、私は考えています。少なくとも、リスクへの備えをせずに事業活動を進めることは避けなければなりません。
2022/1/30 No.1873