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[要旨]

中小企業経営者の方の中には、事業が赤字になっただけでは、直ちに会社が倒産しないことから、そのことに慢心してしまい、事業の改善に取り組まないことも少なくなく、そのような状態を続けていると、多くの借入金を抱えることになり、自己破産しか選択の余地がなくなってしまう可能性が高まります。


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経営コンサルタントの板坂裕治郎さんのブログを読みました。ブログの要旨は、事業がうまくいかないときは、会社が多くの借金を抱えてしまう。そうなると、経営者は、資金繰の維持ばかりに気をとられ、お金が借りられるかどうかでしか、ものごとを判断しなくなってしまう。

しかし、そのような状態になってしまってからでは、事業をもとの状態に戻せる確率は極めて低い。したがって、リセット(自己破産)を考えた方がよい、というものです。この文面だけでは、板坂さんが、自己破産を安易に薦めているように感じる方も多いかもしれません。

しかし、私が、これまで多くの会社の事業改善のお手伝いをしてきて感じることは、板坂さんも述べておられるように、経営者の方が、「ものごとの判断基準がお金」になってしまってからでは、事業を黒字化する可能性はほとんどないということです。もちろん、これは、部外者の立場だから言えることで、多額の借入金を抱えた会社の経営者とすれば、なんとか借入金を返済して、事業を正常化したいと考えているということは理解できます。

では、そのような会社に対し、なぜ、板坂さんは自己破産を薦めているのかというと、そのような状態になってしまう前に、事業の改善に全力で取り組むべきだということだと思います。会社は、赤字になったからといって、その時点ではすぐには倒産しません。でも、その赤字を直視せず、従来と変わらない方法で事業を続けていると、赤字が増え続け、多額の借入金を抱える状態になり、首が回らない(選択肢がなくなる)状態になってしまいます。

そういう状態になる前に、事業を改善する努力をしていれば、多額の借入金を抱えることを防ぐ確率が高くなります。それでも事業が上向かない場合は、余力のあるうちに、他社に事業譲渡したり、関係者に迷惑をかけずに廃業するという、ソフトランディングができる機会があります。ただ、1期~2期程度の赤字であれば、うちはまだ大丈夫と、慢心してしまうと、気が付いたらたくさんの借入金を抱えていたということになりかねません。

これは、私の経験から感じることですが、日本の中小企業経営者の方の中には、自社が赤字であることをあまり問題と感じない(または財務諸表を読み取ることができない)方が少なくありません。でも、赤字は、決して黄色信号ではなく、文字通り赤信号と考えて事業に臨まなければ、板坂さんのご指摘の通り、自己破産するしかないという状態に陥る可能性が高くなるでしょう。

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