コングロマリットディスカウント
[要旨]
コングロマリットディスカウンとは、複合企業の企業価値が、個々の事業が将来生み出すキャッシュフローから算出される理論上の価値の合計よりも小さくなることを指します。会社が多角化すると、相乗効果が働くことが期待されますが、現在のような経済活動が成熟化した時代は、相乗効果がマイナスに働くことが原因のようです。
[本文]
日本経済新聞が、コングロマリットディスカウントについて解説記事を掲載していました。コングロマリット(複合企業)とは、「複数の事業を手がける巨大企業グループ」を指すことは広く知られている通りです。そして、「コングロマリットディスカウント」は、「複合企業の企業価値が、個々の事業が将来生み出すキャッシュフローから算出される理論上の価値の合計よりも小さくなること」です。
記事では、コングロマリットディスカウントが起きる原因として、「狙ったはずのシナジー効果が引き出せず、むしろマイナスに働いているのでは」という疑問を、投資家から持たれるからと解説しています。このようなことは、実際に起きているようです。
ひとつの会社が複数の事業を営むことでシナジー効果が得られることはよく知られていますが、このシナジー効果は、負にも働くこともあり、負のシナジー効果は、アナジー効果と呼ばれることもあります。したがって、アナジー効果を排除するために、東芝やGEが会社分割をすることは妥当ということができます。経済活動が成熟した社会では、多角化のメリットを得ることは難しくなっているのだと思います。
2021/11/15 No.1797