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[要旨]

融資利率は、融資を受ける側からみて低い方がよいですが、過剰に低くしてしまうことは、自社に万一のことがあったとき、銀行からの支援を受けにくくしてしまうこともあるので、バランスの取れた取引を意識することが大切です。


[本文]

ひとつの例ですが、1,000万円の融資の利率を、0.1%引き下げられたときに減少する、支払い利息額は、年間で1万円です。では、銀行と交渉をして、1万円の費用を減少させることが妥当かどうかということですが、必ずしも、妥当とは限らないと私は考えています。経営者としては、融資利率は低い方がよいにこしたことはありません。

特に、割合としては多くありませんが、融資利率にシビアな経営者の方も少なくなく、そのような方は、銀行に対して、強く融資利率の引き下げを要求します。このような方に対して、銀行としては、他の銀行との競合上、採算に合う利率まで引き下げに応じるでしょう。

ただ、採算ぎりぎりの取引の融資相手は、銀行から見て取引のうまみも少ないので、銀行が取引先を選別しようとするときは、優先的に、取引を解消されることになるでしょう。特に、中小企業は、それまで業況が順調であっても、突発的なことがきっかで、業況が悪化することがあります。

例えば、経営者が病気になったり、主要な取引先が倒産してしまったときに、業績が傾くという例を、私はこれまでいくつか見てきました。現在、まだ終わりそうにないコロナ禍も、そのようなきっかけのひとつになるといえるでしょう。そして、銀行の融資相手の業績が悪化したとき、多くの場合は、その相手を救おうとするでしょう。

ただ、そのような支援は、銀行にとって、あまり採算がとれないものです。とはいえ、採算が取れないからという理由だけで、融資相手の支援を避けてばかりでは、銀行の使命を果たすことはできないので、銀行は可能な限りの支援を行うでしょう。しかしながら、銀行もすべての融資相手を支援するとは限らないので、そのようなときは、やはり、採算の合わない融資相手の支援を断る可能性は、必然的に高くなります。

だからといって、融資取引の条件を、必ずしも、銀行から言いなりの条件に応じる必要はありません。すなわち、バランスが大切だということです。では、そのバランスをどうとるかということですが、一概には述べることができません。もし、自社の取引状況が妥当かどうかということを知りたいというときは、融資取引の専門家に問い合わせすることをお薦めします。

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