見出し画像

会社は経営者の所有物ではなく公のもの

[要旨]

八天堂社長の森光さんは、かつて、会社と自分の公私混同をしていたことを反省し、幹部社員には、財務状況を公表し、ガラス張り経営を実践しています。そのことが、従業員の方たちの参画意識を高め、同社の業績のV字回復の要因のひとつになっているようです。

[本文]

今回も、八天堂の社長、森光孝雅さんのご著書、「人生、今日が始まり『良い品、良い人、良い会社つくり』への挑戦」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。同社は、2001年に倒産の危機にあいましたが、森光さんは、その原因のひとつは、森光さんが公私混同をしていたことだと述べておられます。

「数字をきちんと公表する、『ガラス張りの経営』の実現にも、正面から取り組むべきだと考えます。上場企業は、当然、すべての数字を公表しなければいけませんが、非上場の中小企業においても、『伸びている会社』の多くは、ガラス張り経営を徹底されています。つまり、公私混同がないということです。そもそも、会社というものは、経営者個人の所有物などではなく、『公のもの』であると考えなければなりません。

当社においても、例えば、幹部クラスは、経営者である私の給料の額を把握しています。繰り返しますが、かつて、自分が調子に乗っていた頃、私は会社の経費で高級外車を購入し、自家用車としても使っていました。完全に公私混同していましたし、会社は自分の所有物であるかのように思っていました。(中略)自分の間違いに気づいてから、自家用車は社長としての自分の給料で購入するようになりました。(中略)きちんと公使を区別することが、自分の心意気だと考えています」

森光さんもご指摘しておられますが、「伸びている会社の多くは、ガラス張り経営を徹底」しています。その理由はひとつだけではないと思いますが、最も大きな理由は、従業員の方たちの参画意識を高まることだと思います。もし、経営者が、会社のお金で高級外車を買い、乗り回していたら、従業員の方は、「会社のことは、社長が独りで何でも決めるし、会社のお金で外車も買うことができる、自分たちは何も口出しできないので、社長の言うことを黙ってきくしかない」と考えてしまうでしょう。

従業員の方たちが、そのように考えてしまえば、会社は、「社長ひとりと、その他大勢」の状態となってしまい、組織的な活動ができなくなってしまうでしょう。でも、従業員の方に、会社の財務状況を公表し、社長が公私混同をしていないということが分かれば、従業員の方たちも、会社のために能動的に活動しようと考えるようになるでしょう。また、そのような会社は、部外者が見ても、従業員の方たちの生き生きとした様子が自然と伝わるものです。銀行にも、社長が公私混同をしていない、従業員の方が能動的に働いているという様子が伝われば、会社を高く評価し、融資も受けやすくなるでしょう。

2022/10/21 No.2137

いいなと思ったら応援しよう!