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[要旨]

会社の業績が悪化しているときは、新たな収益を得るための事業に投資する必要があります。そのことによって、会社が赤字になるときは、「健全な赤字」と言えますが、それを株主などに説明するために、ステークホルダーコミュニケーションが大切になります。


[本文]

今回も、コンサルティング会社のシニフィアンの共同代表の朝倉祐介さんのご著書、「ファイナンス思考-日本企業を蝕む病と、再生の戦略論」を拝読して気づいた点をご紹介したいと思います。前回、長期的な観点から会社を経営するためには、株主からの協力を得ることが必要なので、ステークホルダーコミュニケーションを行うことが大切ということを説明しました。今回は、もう少しステークホルダーコミュニケーションについて説明したいと思います。

「同じ赤字でも、新たな事業の開発に紐づいて生じる赤字と、成熟した事業で生じる赤字とでは、意味合いが180度異なります。往々にして、前者は産みの苦しみで生じる健全な出血であるのに対し、後者は失血死に至りかねない構造的な赤字であるものです。新たな事業に投資しないことには、将来の収益は望めぬ一方で、会社全体が沈みゆく中で、積極的な投資を実行するのには、相当の覚悟と胆力を要します。

リンクトインの創業者である、リード・ホフマン氏は、『スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機を作るようなものだ』と述べていますが、会社の再生とは、浸水して沈みゆく船を操舵しながら、新しい船を作るような芸当なのです」もちろん、朝倉さんのいう、「沈みゆく船」とはミクシィのことで、「新しい船」とは、恐らく、モンスターストライクというゲームのことではないかと思います。

そこで、株主に対しては、単に、業績が赤字であることだけの批判を避けようとするのではなく、現在の赤字は「健全な赤字」であることの説明、すなわち、ステークホルダーコミュニケーションが必要になるということです。ちなみに、経営者の方は、ステークホルダーコミュニケーションを行う前に、「健全な赤字」と「構造的な赤字」の違いを理解しておくだけでなく、船が沈んで行く中で、「新しい船」を造る決断ができる胆力も養っておく必要があることは、いうまでもありません。

2022/3/15 No.1917

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