キャッシュフローと減価償却費
[要旨]
キャッシュフローの額は、一般的には、収益と費用の差額である利益と等しくなりますが、減価償却費は資金の流出の要因ではないため、利益と減価償却費の合計額が、キャッシュフローの額となります。
[本文]
前回、回収期間法について説明しましたが、その中で、「キャッシュフローは、利益と減価償却費の合計額である」と述べました。この点について、理解されておられる方もたくさんいると思いますが、改めて解説したいと思います。キャッシュフロー(以下、単に「CF」と記します)は、「現金の流れ」という意味ですが、ここでは、「会社が、事業活動によって得られる資金」という意味で理解してください。
次に、「会社が得る資金」の代表的なものは利益です。これは、直感的に理解できると思うので、「CFは利益」と説明しても理解されない方はいないと思います。分かりにくいものは、減価償却費もCFになるということでしょう。これについては、よく、「減価償却費は、資金流出のない費用」と言われますが、なぜ、減価償却費は資金流出がないのでしょうか?それは、資産の経年劣化などによる価値の目減りを費用にしているからです。
一般的な費用、例えば、材料費は、材料を購入すると同時(掛買いのときは、その買掛金を支払う時)に代金を支払うので、資金が流出します。でも、機械や建物など、資産の価値の目減りを費用にするときは、帳簿上の資産の価額を減額させ、その分を減価償却費として費用にするので、資金は流出しません。そこで、会社が獲得する資金は、一般的には、CF=収益-費用なのですが、費用のうち、減価償却費は資金を減らす要因ではないので、CF=収益-(費用-減価償却費)=収益-費用+減価償却費=利益+減価償却費となります。
では、なぜ、減価償却というややこうしいことをするのかということに疑問を持つ方もいると思います。これは、「費用収益対応の原則」という考え方によるものなのですが、それについては、次回、説明いたします。(この記事は、分かりやすさを優先して書いているため、説明の一部が不正確となっていることをご了承ください)