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アマゾンは社内政治と根回しを排除する

[要旨]

アマゾンは、会議の前の根回しを禁止し、会議の場でイノベーションが起きやすくする工夫が行われています。このことは、意思決定や評価の透明性が高くなることで、真に実力のある人が評価されるようになり、より強い組織がつくられていき、競争力も高くなっていくでしょう。


[本文]

今回も、前回に引き続き、アマゾンジャパンOBで、コンサルタントの谷敏行さんのご著書、「AmazonMechanism-イノベーション量産の方程式」を読んで、印象に残ったことを述べます。「アマゾンの会議では、参加者には議題と提案者こそ事前に知らされていますが、提案内容を事前に伝えたり、決裁権のある人に、事前に打診したりしないルールが徹底されています。

そのため、根回しの余地がないのです。日米を問わず、大企業では、会議の前に膨大な根回しが必要になることが多いものです。しかし、根回しが周到な人のアイディアばかりが通るような会社で、イノベーションが起きるものでしょうか。(中略)会議本来の機能は、参加者がそれぞれ独自の視点から議論を戦わせて、会社の施策をよりよい内容に進化させていくことにあります。しかし、根回しによる社内政治は、そんな会議本来の機能を失わせます」

谷さんのご指摘のように、多くの会社では、会議の前に根回しが行われることは珍しくありません。そのようなことが行われるのは、提案者が自分の提案を採用されるようにしたいとの思惑があるからと思われますが、その結果、会議が形骸化し、イノベーションも起きなくなってしまいます。このデメリットについては、ほとんどの人が理解できることと思いますが、そうであっても、自らの手柄を得ようとして、根回しをしたり、また、そのような部下の思惑を利用して、上席者が社内政治による力をつけようとしたりするのでしょう。

したがって、アマゾンのような根回し禁止のルールがある職場は、少し下心のある従業員や幹部にとって、仕事がやりにくい職場になるでしょう。でも、根回しを禁止することで、イノベーションが起きやすくなるだけでなく、意思決定や評価の透明性が高くなることで、真に実力のある人が評価されるようになり、強い組織になることは確かだと思います。それは、アマゾンの競争力の高さがすでに証明してくれています。そして、会社の組織をアマゾンのようにすることの難易度は高いとは思いますが、一方で、どうすればそうなるのかということを理解することは、それほど難しいものではないということも言えるでしょう。

2021/12/30 No.1842

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