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キャッシュ・コンバージョン・サイクル

[要旨]

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle、CCC)とは、現金循環日数と訳されます。これは、経常運転資金が、1日あたりの売上高の何倍かを示す指標です。


[本文]

今回も、前回に引き続き、認定事業再生士の山本誉さんのご著書、「手元資金を増やす中小企業の経営改善の進め方」を拝読して気づいた点をご紹介したいと思います。前回は、山本さんが考える、中小企業の資金繰が悪化する理由として、経営者の方に会計の知識が乏しいと、適切な資金管理ができなくなるということについて書きました。

今回は、資金管理を行うために大切な指標である、キャッシュ・コンバージョン・サイクルについて説明します。山本さんは、このキャッシュ・コンバージョン・サイクルによる資金管理を重視しておられます。キャッシュ・コンバージョン・サイクルとは、英語ではCash Conversion Cycle(CCC)と書き、現金循環日数と訳されます。

そして、CCCは、次のような計算式で算出します。CCC(日)=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数この計算式に出てくる、売上債権回転日数とは、売掛金・受取手形(割引手形を含みます)の合計額である売上債権の金額を、1日あたりの売上高(=年間売上高÷365日)で割った日数です。これは、計算式からも分かる通り、売上債権が、1日あたりの売上高の何倍かを示すものであり、売上債権が現金として回収されるまで何日を要するかということを示す日数です。

これと同様に、棚卸資産回転日数は、棚卸資産が現金化するまでに要する日数を、仕入債務回転日数は、仕入債務(買掛金と支払手形の合計額)を現金で支払わなければならなくなるまでの日数を示しています。したがって、CCCは、仕入債務でまかない切ることができない、売上債権と棚卸資産を維持するために必要となる資金(=経常運転資金)が、1日あたりの売上高の何倍かを示しています。では、このCCCを使って、どのように資金管理をすればよいのかということは、次回、説明します。

2022/3/11 No.1913

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