遅延している売掛金回収業務の役割分担
[要旨]
回収が遅延した売掛金は、初期段階は販売担当者、回収懸念がある段階は専門の担当社が管理することが妥当でしょう。さらに、そのような役割分担は、社内規定で明確化しておくことによって、管理業務の押し付け合いを防ぐようにすることが必要です。
[本文]
前回、販売担当者に、販売先への掛販売額の権限を持たせることで、販売活動の最終的な目的は、利益を得るということを意識させ、そのことによって売掛金の回収もれを防ぐことにつながると述べました。今回は、売掛金回収に遅れがあったとき、誰がどう対処するかということについて述べます。まず、売掛金の回収遅延が発生したとき、販売先の事務上の手違いや、一時的な資金繰り悪化によるもので、回収遅延が解消したあとは、正常な取引を継続できる見込みという状態では、販売担当者が正常化まで管理を行うべきだと考えています。
なぜなら、販売代金が最終的に回収できるまでを、販売担当者が意識するようにすることが望ましいと考えるからです。そして、販売先の業績悪化など、回収に懸念がある場合は、経理部門の方が担当すべきだと考えています。その理由は、回収が懸念される売掛金は、長期的に管理しなければならないものであり、回収を専門に行う部署が担当することが望ましいと考えるからです。
ただ、会社の事情によっては、販売担当者には、販売業務に専念させるため。回収遅延後の督促などは、経理部門の方が行ったり、回収に懸念がある売掛金の回収には、高いスキルが求められるので、社長などの役員担当したりするということもあると思います。そして、ポイントは、そのような役割分担を明確にしておくことです。そうしておかないと、売掛金の回収遅延が起きたとき、従業員同士で、回収業務の押し付け合いが起きてしまう可能性があるからです。
2022/1/22 No.1865