総合原価計算の種類
[要旨]
総合原価計算にはいくつかの種類があります。それらは、単一の製品に対して行う単純総合原価計算、等級のある製品に対して行う等級別総合原価計算、組ごとに行う組別総合原価計算、すべての工程を対象とする単一工程総合原価計算、工程を分けて行う工程別総合原価計算などです。
[本文]
前回は、個別原価計算は、受注生産する製品に対して行う原価計算であり、総合原価計算は、見込生産で大量に製造する製品に対して行う原価計算であるということについて説明しました。今回は、総合原価計算の種類について説明します。まず、1つめは、単純総合原価計算です。これは、1つの製品だけの製造に対して行われる、オーソドックスな総合原価計算です。これに対して、同じ製品でも、等級が区別される製品の製造に対して行われるものは、等級別総合原価計算といいます。
例えば、1リットル瓶入りのみかんジュースと、500ミリリットル瓶入りのみかんジュースを製造しているラインがある場合、等級別総合原価計算を用います。この場合、500ミリリットル瓶入りのみかんジュースの原価は、1リットル瓶入りのみかんジュースの0.5本分として求めます。3つめは、組別総合原価計算です。これは、1つのラインで複数の製品を製造しているときに行われます。例えば、同じラインでみかんジュースとミックスジュースを製造しているとき、両者で共通する原価は両者に賦課しますが、異なる原価だけ、販売価格などの基準によって賦課します。
4つめと5つめは、これまでの3つとは異なる区分による総合原価計算です。すなわち、原価計算は工程ごとに行われるときがあり、それを工程別総合原価計算といいます。例えば、パンの製造工程で生地までを製造する工程で原価計算を行い、その後、その生地からカレーパンやあんパンを作るときに、それぞれの製品で原価計算を行う原価計算が工程別総合原価計算です。これに対して、すべての工程を対象とする原価計算は、単一工程総合原価計算といいます。
2022/3/27 No.1929