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平凡なサラリーマンが非凡な存在に

[要旨]

サザエさんに登場するマスオさんのような、家を持ち、ご夫人が専業主婦という、かつての平凡なサラリーマンは、現在では例外的な存在になっています。これは、若年者層の所得が減っていることが原因のひとつですが、日本の会社自身が、国内の需要を喚起をしていかなければ、自らの経営環境を悪化させることになります。


[本文]

前回、成果主義は効果がないということがわかっていながら、日本では、多くの会社が導入し、業績を下げてしまっているということについて述べました。私は、さらに、ジャーナリストの佐々木俊尚さんが書いた、サラリーマンに関する記事に注目しました。佐々木さんによれば、漫画サザエさんに登場するフグ田マスオさんや、クレヨンしんちゃんのお父さんの野原ひろしさんは、平凡なサラリーマンとして描かれている。

しかし、現在は、マスオさんのように、1軒家で、専業主婦の夫人と暮らすことができるようなサラリーマンは、上流階級になりつつあるということです。これについて、佐々木さんは、「かつての平凡なサラリーマンが、非現実的となっている社会はおかしいので、平凡なサラリーマンが珍しくない社会に戻さなければならない」と述べておられます。私も、佐々木さんのご指摘するようなことを、別の例で感じていました。

というのは、日本の自動車製造会社は、非正規雇用者を活用してきたこともあり、社会全体として、若年者層の所得が減少しましたが、その影響などで、若年者層で自動車を購入したいと考える人たちも減少し、かえって自動車製造会社の売上減少につながったと考えられることです。もちろん、非正規雇用者が増えたことだけが、自動車販売台数の減少の要因ではありませんが、バブル崩壊後、日本の会社の多くは、自社の利益の確保を最優先してきたことから、社会全体の活力がなくなったことも事実だと思います。

とはいえ、このような課題は、とても大きな社会的な課題なので、解決策は簡単には見つからないと思います。ただ、佐々木さんのご指摘をまったく考慮しないことも、長期的には、自社を苦しめることにつながると思いますので、これからは、単なる人件費削減以外に、業績を向上させる方法を実践できなければ、日本の会社は業績を向上させられないということは、念頭に入れておかなければならないと思います。

ちなみに、コストコは、パートタイマーに対して、高い時給を支給していることで有名です。パートタイマーの時給が高いというだけでは、社会全体に与える影響は限定的ですが、このような会社が増えて行けば、徐々に、社会全体がよい方向に向いていくことは事実だと思います。

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