リースは総合的なサービス
[要旨]
リースは、金融サービスに留まらず、リース物件を管理してもらえるなど、総合的なサービスであることから、事業活動に必要な設備の調達をアウトソースするという観点でリースを活用することが望ましいといえます。
[本文]
前回まで、リースの利点、欠点、特徴について説明してきました。今回は、私のリースに対する総合的な評価について述べたいと思います。それは、リースには利点と欠点の両方がありますが、総じて利点が多いので、積極的に活用すべきということです。特に、融資とリースを比較したとき、リースには、リース物件の管理もリース会社が行うという点で、単なる金融サービスにとどまらない、総合的なサービスであるということを、私は、大きく評価しています。
特に、近年、大企業では、事業活動に必要な設備を調達する機能を、リース会社にアウトソースするという位置づけで、リース会社と接するようになっているようです。このような関係は、銀行とは築くことができない、リース会社の特徴と言えるでしょう。ところが、ここで、多くの中小企業経営者の方は、ひとつの疑問を持つと思います。というのは、リース会社が、よいサービスを提供しているのなら、銀行と同様に、多くのリース会社があってもおかしくないのではないかということだと思います。
公益社団法人リース事業協会の調査によれば、約90%の会社がリースを利用したことがあるものの、リース比率(民間設備投資額に占めるリースによる設備投資額の割合)は、5%強に過ぎません。ちなみに、2018年のリース取扱額は、約5兆円、リース会社のリースに関する債権の残高は、約14.5兆円です。これらの金額は、決して少額ではないものの、銀行の融資残高(約500兆円)と比較すると、まだまだ増える余地はあると思います。
そして、最近は、銀行系列のリース会社が、銀行本体を通してリース案件を増やそうとする動きが活発になっているということをきいています。これは、銀行地震も、リースの利点を認識しているからではないかと、私は分析しています。したがって、リースに関心のある方は、現在の取引銀行にお問い合わせをすると、系列のリース会社をご紹介していただけると思います。そして、今後は、運転資金は銀行融資、設備調達はリースという使い分けをして行くとよいのではないかと思います。