表面をぼかし加工した鏡がヒット
[要旨]
これまでは製造業は、製品の製造をすることが事業の重要な要素でしたが、いまはそれは製品の開発に移りつつあります。したがって、経営者の方は、人材や組織の能力を高めることに注力して行く必要があるでしょう。
[本文]
業務用ミラーでトップシェアを持つメーカーである、コミーの小宮山栄社長へのインタビュー記事が、日経ビジネスに載っていました。いま、同社製品で、表面にぼかし加工をした鏡がヒットしているそうです。同社は、衝突防止用の鏡を製造していますが、奥が見えないようにするために、トイレでは使われていなかったそうです。
しかし、表面をぼかせば、人が来る気配だけがわかるようになるので、いま、需要が伸びているそうです。これは、コロンブスの卵的な製品ですが、製造業であっても、単に、製品を製造すればよいということではなく、マーケットインの考え方で事業に臨んでいるということがわかります。
「すぐ売り上げになるかどうかは考えず、面白ければやってみるのがコミー流です。ものになるのに5年、10年かかることもあるけれど、そのプロセスもまた面白いものです。コミーは売り上げの拡大よりも出会いの喜び、創造の喜び、信頼の喜びを大事にしています。大抵の中小企業は他社と競争するものだと思いますが、当社は競争しません。いろんな種をまいて、それらが育って花が咲き、実がなったらお金になるという、農業的な生き方の会社です」
これは小宮山さんのことばですが、これも頭では理解できても、実践することは容易ではないと思います。しかし、製品開発力を持たないと、競争力の低い製品しか製造できなくなるので、価格競争に巻き込まれるだけになってしまいます。これまでは、製造業は、製品の製造をすることが、事業の重要な要素でしたが、それが、いまは製品の開発に移りつつあると思います。だからこそ、経営者の方は、人材や組織の能力を高めることに注力して行く必要があるでしょう。
2021/12/24 No.1836