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リスク9割の市場はレッドオーシャン

[要旨]

需要が大きい市場は、成功する確率が高いと考えられがちですが、そのような市場は参入者も多く、レッドオーシャンの状態です。したがって、安易に、「知人の会社がその分野でうまくいっているから」という理由だけでは、新たな事業に進出しても成功しないので、自社の独自性や強みを発揮できるようにしなければなりません。


[本文]

ソフトバンクグループ社長の孫正義さんの講義をまとめた本、「リーダーのための意思決定の極意」の中に、「新規事業は、5分5分なら絶対にやらない、7割以上勝つ確率がないと参入しない、しかし、9割になるまで待つと手遅れになる」というお話が書かれていました。ビジネスは、常にリスクのともなうものであるということは、言及するまでもありません。

ただし、リスクが高すぎてもよくないし、低すぎても意味がなくなり、どのようにバランスをとるべきかが、成否の重要なポイントになり、これについて、孫さんは、参入する目安を7割と考えているということのようです。この孫さんの考え方については、私もその通りと思うのですが、これまで、私が、中小企業の事業改善のお手伝いをしてきた経験から、別の意味で、この参入のタイミングについて、注意しなければならないことがあるということを感じています。

というのは、「勝つ確率が9割の事業」というのは、すでに多くの会社が参入している事業、すなわち、レッドオーシャンの状態ということです。これについては、ほとんどの方が容易に理解できると思いますが、逆に、「知人の会社がやっているから、自社も参入することにした」と、安易に考えている方が、意外に多いようです。レッドオーシャン市場は、ある程度の需要があるという面では確実ですが、逆に、競争が激しいので、自社が勝てるのかという面では確実性が低くなります。

最近は、同じ業種でありながら、生き残る会社と、勝負に敗れる会社に分かれる例が見られますが、それは、「この業種だから成功する」という考えは通用しなくなり、同じ業種の会社であっても、経営の巧緻によって優劣が明確になってきているということです。繰り返しになりますが、安易に、「知人の会社がうまくいっているから」というだけでは、新たな事業に進出しても成功せず、さらに自社の独自性や強みを発揮できなければ、新規事業に進出することは避けることが無難です。

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