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[要旨]

コロナ禍で、地方銀行の収益体質の先細りが見込まれることから、これから、金融庁は、地方銀行同士の合併等をさらに促そうとするでしょう。


[本文]

先日、菅義偉前官房長官が、新たな総理大臣に就任してから、地方銀行への改革圧力が強まるのではないかという報道が、何件か見られるようになりました。しかし、私は、これは、前内閣からの方針変更ではないと考えています。たまたま、内閣が変わった時期が、コロナ対策関連融資の申し込みが落ち着きつつある時期だったことから、地方銀行に対し、従前からの方針に基づいて、収益体質の改善を促そうとしているのだと思います。

むしろ、現在はコロナ関連融資で手元資金が潤沢で事業が継続できている会社も、これから業績を回復できずにいると、手元資金が底をつくにつれてそれが表面化し、融資をしている銀行も貸倒費用が発生し、業績をさらに悪化させることになりかねません。そうであれば、なおさら、地方銀行の改革は早く進めることが望ましいでしょう。

しかも、地方銀行同士の統合・合併を、独占禁止法の適用除外とする特例法が5月に成立し、11月に施行(10年間の時限立法)される予定なので、それに合わせて、合併等を渋っている銀行の背中を押そうとする思惑があるのかもしれません。すなわち、コロナ禍は、銀行にとっても逆風であるわけですが、それがさらに、収益体質の改革をさらに迫られる要因になっています。

菅首相は、デジタル庁を創設しようとしていたり、「縦割り110番」をつくったりして、改革には前向きな人のようです。その勢いで、金融機関に対しても改革を迫ることになったとしても、不思議ではないかもしれません。

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