売掛金の遅延している相手への交渉
[要旨]
売掛金の回収が遅延している相手が、引き続き事業を継続しているときは、速やかに回収交渉を行います。そして、直ちに全額を支払ってもらえない場合は、分割して回収することになりますが、回収が滞らないよう、適宜、接触を続け、回収の確実性を高めていきます。
[本文]
前回は、売掛金の回収が遅延した時は、迅速な対応と、情報の共有が大切ということを述べました。今回は、売掛金の回収が遅延したときは、その相手にどのように対応すればよいのかということについて述べます。まず、遅延した相手が、引き続き事業を継続するなど、接触が可能な場合ですが、なるべく早く、相手の意向をききます。その結果、支払いが遅れているものの、売掛金の支払いの意思があるときは、今後、どのように支払うのかを確認します。それほど遅くならないうちに、全額を支払う意思があるのであれば、その期限まで待つことが妥当でしょう。
一方、直ちに全額を支払ってもらえない場合は、1か月ごとに分割して支払ってもらうなどの要請をします。そして、その後、確実に回収できるよう、適宜、接触を続けていきます。大切なことは、繰り返しになりますが、相手との接触を継続することです。そのことが、相手に早期に支払いさせることにつながります。また、回収相手が事業が停止したり、行方不明になったときも、そのことに早期に把握することができます。
もちろん、このような回収のための活動には、相当の労力を要します。そこで、回収の見込み額から勘案し、回収のための活動が割に合わないと判断できるときは、顧問税理に相談するなどして、債権放棄することが妥当と思います。結果として回収できないことになったとしても、回収のための活動をしない、相手の状況を把握しない、回収が見込めなくなっても放置しているという状況になることは避けなければなりません。
2022/1/24 No.1867