個別原価計算と総合原価計算
[要旨]
原価計算は、原価の対象による区分で、個別原価計算と総合原価計に分けることができます。個別原価計算は、受注生産する製品に対して行う原価計算であり、総合原価計算は、見込生産で大量に製造する製品に対して行う原価計算です。
[本文]
前回は、原価計算の種類は、対象、性格、範囲の3つの区分によって、それぞれ2つに分けらるということを説明しました。今回は、このうち、原価の対象による区分で分けられる、個別原価計算と総合原価計算について説明します。これについて端的に述べると、個別原価計算は、受注生産する製品に対して行う原価計算であり、総合原価計算は、見込生産で大量に製造する製品に対して行う原価計算です。
この2つの原価計算については、容易に理解することができると思います。まず、個別原価計算は、受注した製品ごとに、原価を集計して行き、製品が完成したときに、その集計した結果がその製品の原価ということになります。なお、これは、手続きのことなのですが、製品の製造を受注すると、工場ではそれに対応して「製造指図書」を発行し、その製造指図書に原価を記録して行きます。
ここでは、単に、知識として、製造指図書というものがあるということをご理解いただければと思います。次に、総合原価計算は、生産工程(ライン)ごとに原価の集計が行われます。そして、会計期間の末日に、集計された完成品総合原価を算出し、その会計期間中に製造された完成品の数量でそれを割ることによって、完成品1つあたりの原価を求めることができます。
ちなみに、詳しくは説明しませんが、完成品総合原価の計算式は、完成品総合原価=期首仕掛品原価+当期製造費用-期末仕掛品原価です。よく、実地棚卸が大切と言われますが、それは、総合原価計算では、完成品総合原価を求めるときに、期末仕掛品を正確に把握しなければ、原価も正確に計算できないためです。次回は、個別原価計算と総合原価計算のそれぞれの種類について説明します。
2022/3/26 No.1928
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