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[要旨]

CCCを改善するためには、売上債権回転日数や棚卸資産回転日数を減少さるなどの方法があります。そのためには、単に、活動の規模を大きくするだけでなく、事業活動の速度を速めることが大切です。このように、CCCは、日数や速度といった、時間的な観点からの改善アプローチを行う指標です。


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今回も、前回に引き続き、認定事業再生士の山本誉さんのご著書、「手元資金を増やす中小企業の経営改善の進め方」を拝読して気づいた点をご紹介したいと思います。前回は、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle、CCC、現金循環日数)の算出の仕方について説明しました。今回は、その活用法について説明したいと思います。

CCC=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数なので、CCCを少なくするには、売上債権回転日数を減らす、棚卸資産回転日数を減らす、または、仕入債務日数を増やすという活動を行えばよいことになります。だからといって、例えば、単純に、取扱商品を絞ることによって棚卸資産を減らし、それによって、棚卸資産回転日数も減らすということでは、CCCの管理の観点からの改善活動とは言えません。もちろん、無駄な在庫を減らすことは大切ですが、CCCは現金循環日数のことを指していることからも分かる通り、時間的な概念があるので、それを採り入れることでCCCの考え方が活きてきます。

例えば、年間に12棟の住宅を建てている住宅建設会社があったとします。この会社が、従業員を増やしたり、外注先を増やしたりして、1棟を建設する期間を3分の2に短縮し、年間に18棟の住宅を建てて販売したとします。ここで注意しなければならないことは、単に、販売数を増やすのではなく、建設する期間を短縮して売上を増やすということです。こうすることで、売掛金や棚卸資産を増やさずに、売上高を1.5倍にすることができます。

これは、売掛金や棚卸資産を変えずに売上高が1.5倍になるので、CCCは3分の2に減少するということでもあります。もし、建設する期間が従来と同じで、販売数だけを増やせば、売掛金や棚卸資産も増加し、CCCは短くなりません。このように、時間的な観点から資金繰を改善しようという方法が、CCCの活用による改善のアプローチの仕方です。今回は、単純な例で示しましたが、事業活動の速度を速めることで、資金繰の改善を図ることができ、それを実践する場合は、CCCを活用して管理することになるということをお伝えしました。

2022/3/12 No.1914

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