システムクラウド化は金融庁の働きかけ
[要旨]
地方銀行のシステムのクラウド化は、金融庁が、地方銀行の統合を促すために、システム統合の費用を抑えることができるよう、ITベンダーに働きかけたとの報道がありました。このような環境整備により、地方銀行の統合(合併)は、ますます加速し、現在の100行から50行以下になっていくようです。
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先日、日経ビジネスが、NTTデータによる、地方銀行のシステムのクラウド化に関する記事を掲載していました。「金融庁はこれまで、NTTデータなど、ITベンダーに水面下で接触し、地銀が経営統合を決断しやすい環境を整えるよう、依頼してきた。多くの地銀が、持続可能なビジネスモデルの創出に苦労しており、『地銀の数は今の半分以下でいい』(金融庁幹部)というのが本音だ。地銀に再編を促す法令改正に加え、再編を決めた金融機関が、日銀に預ける当座預金に金利を、年0.1%上乗せする時限措置も導入された。だが、『新型コロナ禍の対応に忙殺され、多くの再編交渉が滞っていた』(別の金融庁幹部)という」
地方銀行システムのクラウド化は、地方銀行の経費削減のためということは容易に理解できますが、この記事のよれば、銀行の統合の障害を低くすることも目的になっているということが分かります。銀行が統合(合併)するにあたっては、システム統合の費用負担が、決断の足かせとなる場合がありますが、システムが同じものであれば、システム統合の負担が小さくなり、統合(合併)が加速することが期待できます。
先月、日本経済新聞が、「広島銀行は、ふくおかフィナンシャルグループとの基幹系システム共同化の枠組みである、『Flight21』から2030年度に離脱し、横浜銀行などが参画する『MEJAR』に乗り換える方針」と報道したのも、広島銀行が、将来の経営統合を見越していることが背景にあると思われます。したがって、今後、地方銀行の統合は、どのシステムに参画しているのかで、ある程度、想定できると思われます。
2022/12/2 No.2179