真実を見るには勇気がいる
[要旨]
ダーウィンが進化論を公表した時、それが真実であっても、社会から批判を受けたように、人は受け入れたくない事実を否定する資質があります。しかし、経営者の方が事実を受け入れないで判断を行うと、事業が失敗してしまうので、経営者の方は、事実を受け入れようとする姿勢が必要です。
[本文]
中部大学教授(特任教授)の武田邦彦さんのブログを読みました。要旨は、進化論を提唱したことで著名な生物学者のダーウィンは、19世紀に、「人は猿から進化した」と発表した。しかし、当時のキリスト教では、「人は神に似せて創られた」と教えていたため、それを否定することになったダーウィンは、社会から猛烈な批判を受けた。
そこで、ダーウィンは、「勇気を持てば真実が見える」と述べているが、人は、自分が受け入れたくない事実は、正面から見ようとしないという性質がある、というものです。現在は、ダーウィンの進化論をおかしいと考える人はいないでしょう。また、武田先生のご指摘している、人は受け入れたくない事実を直視しようとしない性質があるということも、ほとんどの方がそのように考えるでしょう。
でも、これを分かっていながらも、見たくない事実を直視せず、いつまでも従来と同じことを繰り返している方(私自身も含まれます)は、少なくないと思います。しかし、真実を見極めようとする方が経営者の場合、その会社の事業は成功していると思います。例えば、写真フィルムメーカーの、米イーストマン・コダック社は、2012年に経営破たんしましたが、その最大の要因は、写真フィルムの需要減少を直視できなかったことでしょう。
一方で、富士フィルムが業種転換に成功した要因は、写真フィルムの需要減少という事実を、直視することができていたからだと思います。富士フイルムのように、自社の事業を変えるということは、これまでの自社を自己否定することにつながりかねませんが、だからこそ、「真実を見るには勇気がいる」ということなのでしょう。また、そのような勇気を持つことは、経営者が持つべき、重要な資質でもあるでしょう。