厳しさを増すコンプラ違反への評価
[要旨]
銀行の融資相手の会社に対するコンプライアンス違反への対応は、年々、厳しくなっており、最悪の場合、融資取引を解消され、倒産に至ることもあります。また、コンプライアンス違反は、反社会的勢力との関係のほか、粉飾決算も該当しますので、正確な経理業務を行うことが大切です。
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7月9日に、日本経済新聞が、大分市の設備会社のK社の倒産について報道していました。記事によれば、K社は2021年2月決算で、過去最高の売上高を計上するなど、業績が好調であったにもかかわらず、4月に経営者が反社会的勢力と関係があったことがわかり、金融機関から預金取引・融資取引を解消され、倒産に至ったというものです。
20年ほど前であれば、銀行は、融資相手の会社が、反社会勢力とのつながりがあるとわかった場合は、直ちに取引を解消することはせず、徐々に解消するというソフトランディングを行っていたと思われます。しかし、記事でも指摘されているとおり、コンプライアンス違反に関する銀行の対応は厳しくなりつつあり、これからは、融資相手の会社のコンプライアンス違反が分かれば、K社のように、直ちに倒産に追い込まれることになるでしょう。
ちなみに、コンプライアンス違反は、反社会的勢力との関係だけでなく、記事にもあるとおり、粉飾決算も該当します。中小企業では、粉飾決算に関しては、あまり罪悪感を持つことなく、安易に行ってしまう会社も少なくないので、注意が必要と思われます。また、意図していなくても、正確な経理事務を行っていないために、銀行から粉飾決算を行っているとみなされてしまう可能性もあるので、不安のある経営者の方は、顧問税理士に、「中小企業会計要領」を採り入れたいというご相談をすることをお薦めします。