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売掛金回収が遅延している会社の倒産

[要旨]

売掛金の回収が遅延している相手が倒産したり、夜逃げしたりすると、回収する側の立場は極めて不利になります。そこで、その後は、弁護士などの専門家に煩雑な手続きを委ね、自社の役員、従業員は、売上増加のための前向きな活動に労力をあてることが得策です。


[本文]

前回は、売掛金の回収が遅延している相手が、事業を継続しているときは、速やかに回収交渉を行い、直ちに全額を支払ってもらえない場合は、分割して回収を依頼することが大切ということを述べました。今回は、売掛金の回収が遅延している相手が、支払不能(いわゆる倒産)になったり、行方が分からなくなった(いわゆる夜逃げ)ときの対応について述べます。

結論とすると、遅延の相手がそのようになったときは、その後の対処を、弁護士や行政書士などの専門家に委ねることが最善だと思います。(ただし、金額が少ないときは、その後の労力を勘案し、回収を諦めることが得策でしょう)なぜなら、倒産したり夜逃げしたりした相手は、有利な立場に立つからです。倒産した場合は、債権者は、直接、倒産した会社の経営者と接触することはできません。夜逃げされたときは、こちらから接触することは、ほぼ不可能です。

もちろん、未回収の売掛金を支払ってもらうという法律的な権利は残りますが(破産により、債務者が免責された場合は除きます)、相手の支払い能力がなくなってしまえば、その権利を行使することは、極めて難しくなってしまいます。端的に言えば、残余財産による少額の配当は期待できるかもしれませんが、ほぼ回収はあきらめなければならないでしょう。だからこそ、販売先がそうなる前までの迅速な対応が重要になります。

とはいえ、販売先が倒産することは、100%回避することはできませんので、そのようなことが起きた場合は、未回収の売掛金が少額でなければ、前述のとおり、弁護士などの専門家に回収を委ねることが適切です。もちろん、弁護士などに対応を委ねたとしても、必ずしも回収が確実になるわけではありません。でも、その後の煩雑な手続きを専門家に委ねることによって、そうしなければ自社の役員や従業員が回収業務に割かれることになったであろう労力を、売上増加などの前向きな仕事に振り向けることができるようになります。

2022/1/25 No.1868

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