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中小企業の事業多角化の注意点

[要旨]

事業を多角化する会社は多いようですが、多角化するだけでは事業が成功するわけではなく、しっかりとした組織づくりが前提になるということに注意が必要です。


[本文]

経営コンサルタントの板坂裕治郎さんのブログを読みました。ブログの主旨は、新聞に、不況の中にあって、新たな収益を得るために、建設会社がフランチャイズチェーンに加盟して、たい焼き店を開いた。しかし、板坂さんの経験からは、既存の事業に関連がある分野への多角化(集中型多角化)であれば、成功する確率が高いが、まったく関連のない分野への多角化(集成型多角化)であれば、経営資源が分散してしまうので、成功する確率は低い。したがって、前述のたい焼き店に進出した建設会社は、建設業をやめて、たい焼き店だけに集中する気持ちが必要になるだろうというものです。

私も、中小企業が多角化するときは、板坂さんのように考えるべきだと思います。なぜなら、中小企業は経営資源が少ないので、ふたつの事業を同時に営もうとするのであれば、リスクの少ない集中型多角化が妥当であり、集成型多角化を選ぶのであれば、営む事業をひとつに絞り、すべての経営資源を新たな事業に集中させるべきでしょう。ここまでは多くの方にご理解いただけることなのですが、私がこれまで中小企業の多角化を見て思うことは、「自社の業績がよくないのは、営んでいる事業がよくないからで、事業をかえれば業績もあがる」と、安易に考えてしまう会社が多いということです。

人は、隣の家の芝生は青く見える習性があるので、そう思うことは理解できなくもありません。また、事業を変えることが妥当なこともあります。問題なのは、事業を変えることですべてが解決すると、過信してしまうことです。事業が成功する要因は、どんな事業を営むかということも大切ですが、最終的には、その事業を営む組織の能力(=経営資源の質)が決め手になります。そこを抑えておかなければ、どんな事業を営んでも、その会社が営む事業はうまくいかないでしょう。

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