在庫を増やさない6つの方法
[要旨]
日本レーザー社長の近藤さんは、在庫は常に売れるものだけにしようと考え、避けられない不良在庫の発生を除去するための利益を得たり、定期的な実地棚卸を実施しています。すなわち、同社の在庫は、事業活動の結果ではなく、社長の意思を反映させる対象となっています。
[本文]
今回も、日本レーザー社長の近藤宣之さんのご著書、「倒産寸前から25の修羅場を乗り切った社長の全ノウハウ」の中から、私が気づいた点について述べたいと思います。近藤さんは、近藤さんの考える、在庫を増やさない方法を、6つ示しておられます。(1)定期的に棚卸をして、在庫状況を正確に把握しておく。(2)「原価を下げることになる」からといっても、まとめ買いはなるべくしない。(3)販売促進用のデモ機などは、設備化して、減価償却をしていく。
(4)在庫品が売れなくなる前に、値引きキャンペーンをして売り切る。(5)不良在庫は利益を削って除去処分する、その分、利益が減少するのを見込んでおく。(6)「帳簿には計上されているが、現物がない」といったずさんな管理をしない。これらの中で、私が斬新だと思ったものは、「(5)不良在庫は利益を削って除去処分する、その分、利益が減少するのを見込んでおく」です。
すなわち、近藤さんは、不良在庫の発生は避けることができない、そこで、それを処分するだけの利益を得るようにしなければならないと考えていることです。そして、そうすることで、在庫は常に売れるものだけにしておこうと考えておられるようです。そのために、「(1)定期的に棚卸をして、在庫状況を正確に把握しておく」必要があるということなのでしょう。
私は、これまで会計的な観点からしか、実地棚卸を理解していなかったため、実地棚卸は、在庫量を確定させ、正確な決算を行うことが主な目的だと考えていました。もちろん、その結果を経営者の意思決定の材料にすることはあり得るとは考えていましたが、近藤さんの場合は、意思決定を主たる目的にしているようです。在庫は、事業活動の結果ではなく、経営者の意志を反映するものということを、近藤さんのご指摘で理解できました。
2022/1/8 No.1851