資産超過と債務超過
[要旨]
事業活動で赤字の状態が続くと、赤字が累積し、利益剰余金がマイナスになります。さらに、資本金などの金額を超えてマイナスになると、自己資本そのものがマイナスになるので、負債が資産を上回る状態である、債務超過に陥ることになります。
[本文]
前々回、会社が事業活動で得た利益は、利益剰余金として、会社に蓄えられると説明しました。では、事業活動の結果が赤字で、利益が得られずに、損失が発生した場合はどうなるのでしょうか?それは、損失は、利益が得られたときと同様に、次の会計期間に繰越されます。したがって、損失が発生したときは、前期の利益剰余金から、当期に発生した損失分の金額が減少し、それが、当期の利益剰余金になります。
事業活動で赤字が出ても、直ちに会社が倒産しない理由のひとつは、過去の蓄えによって、当期の損失を補うことができるからです。それでは、複数の会計期間で赤字が続き、繰越した損失を、利益剰余金で補うことができなくなったときはどうなるのでしょうか?そのときは、利益剰余金がマイナスの状態になります。
さらに、そのマイナスが増加して、資本金や資本剰余金などの金額を加えてもマイナスの状態になると、自己資本(純資産)の額が、マイナスになります。貸借対照表の原則として、資産=負債+純資産なので、純資産がマイナスのときは、資産<負債となります。このような状態を、債務超過といいます。
逆に、純資産>0であれば、資産>負債となりますが、このような状態は、資産超過といいます。会社は、資産超過が正常なのですが、債務超過の状態は、会社の信用力が極めて乏しいので、事業活動にも大きな影響が現れます。したがって、当然のことですが、経営者の方は、会社が債務超過に陥ることのないように努めなければなりません。