地域金融機関のシステム統合への補助金
[要旨]
来年、政府は、金融機能強化法を改正し、地域金融機関がシステム統合をする費用の一部を補助する、「資金交付制度」を設けると報道されました。これにより、地域金融機関の統合は加速していくものと思われます。
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12日に、日本経済新聞が、「地銀や信金が合併・経営統合に踏み切った場合は、国がシステム統合などの費用の一部(統合1件あたり最大で30億円程度の見通し)を負担する」と、報道しました。(ご参考→ https://s.nikkei.com/36tGwvZ )この制度は、「資金交付制度」と名付けられ、政府は「来年の通常国会に補助金の設置を盛り込んだ金融機能強化法改正案を提出」するようです。
10日には、日本銀行も、統合などを行う地域金融機関には、預金金利を上乗せする支援策を打ち出しており、さらに政府の補助金によって、地域金融機関が統合するためのハードルは、さらに低くなることになるでしょう。これまで、金融庁は、金融検査マニュアルを廃止するなど、金融機関の自主的な運営により、業績改善をすることを狙ってきたと思われますが、低金利政策やコロナ禍の影響で、金融機関の経営環境が悪化していることを考慮し、このような補助を行う方針に転換をしたのでしょう。
政府などがこのような補助を行うことは、規制緩和に逆行することになりますが、現在は、金融機関、特に地域金融機関にとっては、経営環境があまりにも厳しい状況にあることから、これらの政策は妥当であると、私は考えています。逆に、政府などが支援を行わなければ、金融機関の体力は落ち続け、金融機関の融資相手の中小企業の資金繰にも影響を受けることになるでしょう。また、来年以降は、これらの政策により、金融機関の統合は加速していくと予想されます。