事業再構築補助金の対象の事業とは?
[要旨]
事業再構築補助金が採択される要件は、売上が減少しているというだけでなく、補助対象事業により、利益が増加する見込みであるということが要件になっていますが、これは見落とされがちなので、注意が必要です。
[本文]
事業再構築補助金に関する質問を受けたときに、ときどき、意外に感じることがあります。それは、補助を受けた結果、利益が増加する見込であることが要件になっていることを、ご相談者の方が見逃しているときが少なくないということです。その要件とは、具体的には、「補助事業終了後、3年~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成」が見込めるというものです。
この要件については、申請する事業計画書で、達成する見込みが高いかどうかを審査されます。もちろん、事業計画書だけで審査されるので、ある意味、うまく脚色すれば採択されるかもしれません。でも、それが非現実的であったり、非論理的であったりすると、採択はされなくなるでしょう。また、採択されたとしても、その計画の難易度が高いために、計画通りに進まなくなるということになってしまうと、補助金がもらえなくなってしまいかねないので、事業計画書の作成の段階で、その内容を慎重に検討することが大切です。
話を戻すと、事業再構築補助金は、持続化給付金や、緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金と異なり、単に、売上が減少しているなどの要件だけでは受け取ることができません。前述のように、補助事業によって利益の増加が見込めることが要件になるので、ある意味、事業コンペティションのようなものです。このことは、私がここで述べなくても容易に理解できそうな内容なのですが、「設備が劣化したので、補助金を使って買い換えたい」というような、直接的に利益に結び付かない用途に補助金を充てることができるかという問い合わせは、少なくありません。
確かに、現在はコロナ禍にあり、経営環境が厳しくなっていることは理解できるものの、事業再構築補助金は、業績が悪化しているという要件だけで、その会社に補助をするということではありません。利益目標が要件になっている理由として考えられることは、政府が補助金を払うからには、効果の高い会社に補助をしたいという意図があるからと考えられます。