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売上しか見ていないと儲からない

[要旨]

起業した経営者の方は、自分の得意分野に没頭してしまう結果、納品までの管理や、代金の回収までの管理が疎かになり、売上はえるものの、利益を得られなくなるという例もあるようです。したがって、経営者は、得意分野だけに没頭することなく、事業全体が円滑にまわっているかどうかを管理することを優先しなければなりません。


[本文]

税理士の佐藤亜津子さんのご著書、「税理士がこっそり教える儲かっている会社の会計ルーティン15」を読みました。同書には、私にも共感できるご指摘がたくさんあったので、今回から、その中のいくつかについてご紹介していきたいと思います。まず、そのひとつは、「売上しか見ていないと儲からない」です。佐藤さんによれば、かつての顧問先で、ウェブサイト制作会社の社長は、営業能力が高く、同社は順調に受注が推移していたそうです。

しかし、社長が忙しいこともあり、受注したあとは管理ができておらず、納品までのトラブルが多発していたそうです。さらに、納品後も、請求書の発行が遅れたり、入金管理ができていなかったりしたそうです。このような状況では、売上を増やしても、利益はあまり得られそうにありません。同社がこのような状態になってしまった原因として、佐藤さんは、起業する人の多くは、営業畑出身者か、技術畑出身者であることが影響していると指摘しています。

というのは、営業が得意な社長は受注を得れば満足してしまい、また、技術開発が得意な社長はよい商品を作れば満足してしまうということです。営業マンであれば受注を得ること、技術者であればよい製品を作ることが役割ですが、起業して経営者になったのであれば、経営者としての役割も果たさなければなりません。それは、事業全体がうまくまわっているかを管理する役割です。

前述の例では、受注後も、納品が円滑に進んでいるか、代金回収も滞っていないかまでを社長は管理しなければなりません。でも、佐藤さんの指摘しているように、社長になってからも、自分の得意分野だけに没頭してしまう方が少なくないということは、私も実感しています。起業して経営者になった場合、社長は事業全体の管理をすることを最も優先して取り組まなければならないということを、忘れないようにしましょう。

2022/1/10 No.1853

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