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回収不能の売掛金の会計処理(1)

[要旨]

販売先が、法的に倒産したり、倒産に至らないまでも、回収が見込めない状態になったときは、その売掛金は貸倒損失として計上しなければなりません。ときどき、貸倒によって利益が減少することを明確になることを避けるために、この会計処理を行わない会社も見られますが、それは避けなければなりません。


[本文]

前回は、売掛金が回収できず、自社の事業が継続できなくなってしまう事態に至らないようにするためには、社内でリスク管理体制を整えることが大切ということを述べました。今回は、体制整備のひhttps://bit.ly/3AFwAOzとつとして、会計処理について述べたいと思います。まず、中小企業向けの会計ルールである、「中小企業会計に関する基本要領(中小会計要領)」では、売掛金などの金銭債権の貸倒に関し、次のように書かれています。

(1)倒産手続き等により債権が法的に消滅したときは、その金額を貸倒損失として計上する。(2)債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能な債権については、その回収不能額を貸倒損失として計上する。(3)債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能のおそれのある債権については、その回収不能見込額を貸倒引当金として計上する。

このうち、(1)については、販売相手の破産などによって、外見的に回収が不能になった場合、(2)については、外見的は破産していなくても、販売相手の資産の状況からみて回収が見込めない場合は、それを損失(一般的には、特別損失の科目である貸倒損失)を計上します。しかし、例としてはあまり多くありませんが、中小企業の中には、貸倒損失によって会社の利益が減少することを明確にしたくないために、回収できなくなった売掛金を資産に計上したままとしてしまうこともあるようです。

このような、本来なら行わなければならない会計処理をしなかったとしても、早晩、銀行にはそれを知られてしまうことになりますので、会計処理は、売掛金が回収不能になった時点で、きちんと行わなければなりません。また、(3)については、次回、説明いたします。

2022/1/28 No.1871

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