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[要旨]

品質の劣化などによる経済的価値の減少を棚卸減耗といいますが、これをなくすことはできないものの、適宜、管理することによって、最小限とすることができるようになります。


[本文]

前回は、死蔵品や滞留在庫を少なくするよう、在庫品を管理することが大切ということについて説明しました。今回は、在庫に関する損失である、棚卸減耗について説明します。棚卸減耗は、会計的な考え方で、在庫品の価値などの減少のことです。具体的には、品質の劣化による価値の減少です。

在庫品は、一般的には、仕入れてから日数を経ると、物理的な品質が劣化します。また、そのほかにも、保管中に誤って傷つけてしまったり、盗難や紛失によって、数量が減少したりします。そして、そのような要因で起きた棚卸減耗は、実地棚卸で確認します。在庫高は、在庫品の出し入れを記録する、在庫台帳で把握することはできます。

ただし、在庫台帳の数量は、あくまで帳簿上の数量なので、実際に、記録通りの在庫量があるか、また、品質が劣化したものや傷がついてしまったものがどれくらいあるかということは、実際の在庫品を見て確かめなければ、把握することはできません。そこで、多くの会社では、会社の会計年度の末日(決算日)や、1~6か月おきに、在庫台帳と実際の在庫が一致しているかどうかを調べる実地棚卸を行います。その際に、在庫品の品質劣化なども把握して、棚卸減耗がどれくらいあるかということも把握します。

この、棚卸減耗は、死蔵品と同様に、まったく発生しないようにするということは、現実的ではありません。在庫を持つことは、前向きなことなので、棚卸減耗を発生させないようにすることは、かえって、収益機会を逃すことになるからです。しかし、棚卸減耗を少なくすることは可能です。それは、5Sなど、倉庫を整理整頓し、また、適宜、在庫の状況を管理するという、基本的な対応で実現できます。

会社によっては、在庫台帳を記録していない、実地棚卸を実施していない、5Sを実践していないという会社もあります。そのような会社は、管理業務は、あまり利益に結びつかないと考えているようです。しかし、容易に利益を得ることが難しい経営環境においては、管理業務にも注力し、棚卸減耗を減少させることで、効率的な事業を実現することが、より収益に結びつく活動になりつつあると言えます。

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