融資のコツ―普段から銀行と接触する
[要旨]
融資を受けるということは、「自社を信用して欲しい」という要望を出すことです。銀行から見れば、普段は接触の少ない会社から、突然、相手の都合で、「当社を信用して欲しい」と言われても、銀行の反応は鈍くなってしまいますので、普段から、良好な関係の構築をしておくことが望まれます。
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これは、至極当たり前のことなのですが、普段から銀行と接触しておくと、融資承認を、比較的、得やすくなります。でも、実践している会社は圧倒的に少ないようです。さらに、「銀行は晴れの日に傘を貸そうとするけれど、土砂降りの日になると傘を取り上げようとする」と揶揄する人もいますが、銀行側からみれば、「土砂降りのときだけ、急に銀行にきて、傘を貸してくれと言われても…」と感じる面もあります。
私がこのようなことを伝えると、「なぜ、銀行のご機嫌伺いに行かなければならないのか」と受け止める人もいると思いますが、銀行との接触を、ご機嫌伺いとは受け止めず、リスク管理と考えればよいと思います。すなわち、今月は、たまたま銀行の支援を受ける必要がなかったとしても、来月は、急に融資を受ける必要があるかもしれないから、今月のうちから、銀行に業績の報告をしておけば、その時は融資の申し込みが円滑に進むだろうという考え方で、銀行に接触しておけばよいと思います。
また、「銀行との接触」とは、物理的に銀行を訪問したり、銀行職員と会うだけでなく、前月の月次試算表ができたら、銀行にそれをコピーして郵送するだけでも効果があると思います。さらに、その際に、現在の自社の業況について、簡単な説明文を添えたり、近いうちに融資を受ける意向があれば、それも書き添えておくだけでも、実際に、融資の申し込みをするときに、円滑に話が進むことになるでしょう。また、そのような会社に対しては、銀行からも、融資のセールスをされたり、事業に有益な情報を提供される機会が増えると思います。
繰り返しになりますが、このような頻繁な銀行との接触は、決して、銀行に対して、ご機嫌伺いをしましょうということではありません。融資を受けるということは、「自社を信用して欲しい」という要望を出すことです。そこで、銀行から見れば、普段は接触の少ない会社から、突然、相手の都合で、「当社を信用して欲しい」と言われても、銀行の反応は鈍くなってしまいます。銀行から信用を得られるようにするには、そのための努力も必要です。