ワルプルギスんの夜(仮)
あの日は、雨が降っていた。
それはもう 土砂降りの雨
いつの間にか
ずぶ濡れまま立ち尽くしていた私を 温かい腕が包んでくれた。
それがはじめの記憶。
「ちょっとぉ〜今日来ていく服がないわ〜」
…温かい
「聞いてる? ねぇ?」
感慨にふけることも許されないのか
全く…
「なんですか?服ですか?母上!」
私(わたくし)の名前は
ロキ=アカシック
とある魔女に拾われ育てられた
ただの人間だ
魔法は血の契約により使うもので使えないのだが
魔術に関しては それなりな魔術士のつもりだ
「ちょっと!聞いてる!?」
「はいはい…どの服でも素敵ですよ」
「そんなことわかってますわ〜違いますの!早く出してと言ってますの!」
「はぁ〜自分でお出しになったらどうです?」
「ええ〜ロキにだしてもらいた〜い」
いつからこうも甘えん坊になったのか…やれやれ
残念な顔で彼女見ていると
「もう!仕方無いわね!自分でするわよ!」
またたく間に全裸になり
「ちょっ…なんで脱ぐんですか?」
「何よ〜小さい頃はいつも見てたじゃない? それとも まだ おっぱいがほしいのでちゅか?」
…イラ としながらも目を逸らす
いくら幼少期に乳母をしてもらっていたからと言って 見続けるものではない 紳士として…
「い〜い リセットしっかりしてそれから服を出すの今着ている服と混ざっちゃうでしょ?も〜〜」
その理由はわかるのだが
人前でするのはいかがなものだろう?
彼女の名前はルナ=アカシック
要するに母だ…
いつまでも子離れができていない
残念な母だ
これでも昔は 世の心理まであと一歩まで行った凄腕の魔女だったのだが…
何故かこうなってしまった…
見た目は 私よりも幼い
困った事に街に出ると母呼びは禁止しなければならないほどだ
まぁ魔法で姿を変えているのだが齢は何百に…
「ちょっと…なんか変な事考えてない?」
心聞きの悪い そんな事考えておりませんよ母上
あまり思考すると心を読まれるので注意が必要だ