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第4回せたがや居場所サミット振り返り

第4回せたがや居場所サミットの振り返り。
せたがや居場所サミットとは。新たなる定義。

中澤さんの目のつけどころ。誤解していた「おもしろい

それは2017年の出来事。
当時世田谷区若林で開かれていた「せたカフェ」という認知症カフェに通っていた。
せたカフェに興味を持ったきっかけは、知人がスタッフとして関わっていたこと、
隔回で著名な講師陣を招いての講座も開かれていたこと。
その後の懇親会の豪華な食事とお酒に誘われたことも否めない。

イベントの準備などに慣れていた私は会場の設営や撤収などこまごまとお手伝いをしていた。
そうしているうちに主宰の中澤まゆみさんから「今度手伝ってもらいたいことがあるのだけれど」と声をかけられるようになる。
最初は曖昧に返事をしていたが具体的お話を聞く機会があり、それが

「世田谷って高齢者の認知症カフェや子ども食堂などなどいろいろな居場所があると思のだけれど、それぞれ縦割りのカテゴリーの知られ方で横のつながりが弱いのではないか、
そういったいろいろな居場所活動をしている団体を一か所に集めてごちゃまぜにしたら【おもしろいじゃない】名前は「せたがや居場所サミット」というものだった。

言い出しっぺは、せたカフェの中澤まゆみさん、せたがや子育てネットの松田妙子さん、
オレンジカフェKIMAMAの岩瀬はるみさん。

この「居場所」という概念があいまいで中澤さんと何度かやりとりを重ねることとなる。
ざっというと「縁側にいるような、だれでも居てよくて、何をしていてもよくて、居心地がいいところ」と、今考えると曖昧な定義で、それでいてその後の柔軟性を生み出すことになった点でもある。

第4回せたがや居場所サミットの振り返りなのだが、第1回せたがや居場所サミットからの流れをざっとまとめる。

各せたがや居場所サミットの概要

2018年2月25日
第1回せたがや居場所サミット 二子玉川 東京都市大学 夢キャンパス
何が起こるのか
さまざまなつてや募集をかけて48団体が参加
この時から会場の設計・レイアウトは伊藤朱子さん。いまのレイアウトにつながる
画一的でなく、出会いの面白さを生み出すデザイン。

スタッフも初めての試み、出展者、来場者にとっても初めてのイベントとなった。

まずは中澤まゆみさんが「せたカフェ」説明を話してはじまり。
トークセッションタイトルは「これからの居場所」
松田妙子(せたがや子育てネット代表)
岩瀬はるみ(コミュニティカフェZUTTO KOKO主宰)
深山ゆみ(玉川ボランティアビュロー「遊ぼう会」)
安藤勝信(タガヤセ大蔵代表)
司会・コメント:坂倉杏介(東京都市大学准教授)

そののち一団体1分の時間をとるトークリレー

このタイムスケジュールは第4回までのリアル開催では継承されている。

正直に述べると集まった団体の数と活動内容の多様さに驚いた。
また、いま考えると、このとき出展者はどちらかというと自分たちの活動のPRに力を入れたものだった。もちろん、近い活動をしていて知り合っていた人たちもいたのだけれど、別カテゴリーの団体との積極的な交流という点では第4回ほどではなかったと思われる。

2019年3月21日
第2回せたがや居場所サミット 駒澤大学駒沢キャンパス種月ホール

トークセッション~「居場所」は誰でもつくれるよ~ 
田名夢子(笑恵館オーナー) 
鈴木佑輔 (東京メディエーションセンター代表理事)
山中真奈 (MANAHOUSE上用賀 シングルズキッズ株式会社 代表取締役) 
友岡宏江(Ohana kids Station デイサービス、NPO法人Ohana kids理事長)
【司会】 松本典子(駒澤大学准教授) 
【コメント】 坂倉杏介(東京都市大学准教授)

第1回から会場を移しての第2回開催

59団体が参加
会場が移ったこと、参加団体が増えたこともあり初めて参加の団体が増加。
二度目ましてのご挨拶も聞かれるようになる。

2021年6月13日
第2.5回せたがや居場所 松陰神社100人の本屋さんから発信したオンライン開催

トークセッション「コロナ下で”居場所”はどう変わったのか」
司会:坂倉杏介(東東京都市大学 都市生活学部 准教授)
トークゲスト
伊藤浩己(ふきのとう)
榎本吉宏(みんなのジッカ)
高野雄太(おやまちプロジェクト)
横井美代子(失語症パートナー世田谷連絡会)
ZOOM交流会
総合MC:さくらだモンスター 

32団体の動画応募による参加

はやり病の影響によりやむなくオンライン開催
会場の確保、収録・配信を素人で行ったため映像班スタッフは苦労することとなる。
また、想定外にオンラインでの質疑応答がありぎゅっと詰まったサミットとなる。

2022年7月2日
第3回せたがや居場所サミット 駒澤大学駒沢キャンパス種月ホール

トークセッション
~コロナ後の「居場所」のつくり方~
荒木直子(羽根木プレーパーク世話人代表)
タマリバタケ(一同、 代表: NPO法人neomura 新井佑)
木畑実麻 {一般社団法人輝水会水中アビリティエクササイズ指導担当)
高野雄太(一般社団法人おやまちプロジェクト代表理事、タタタハウスオーナー)
司会 松本典子 (駒澤大学教授)
コメント 李妍姦 (駒澤大学教授)

40団体が参加

このときの居場所サミットは一言で言うと「久しぶり!また会えたね!」といった再開を喜ぶものだった。出展者たちの一体感も増した印象だった。

2023年5月27日
第4回せたがや居場所サミット 駒澤大学駒沢キャンパス種月ホール
トークセッション~広がる「居場所」の役割~ 
安藤勝信(株式会社アンディート/タガヤセ大蔵)
川崎 修(一般社団法人ななつのこ理事・事務局長)
佐藤里子(NPO法人コスファ)
前川哲弥(NPO法人ユメソダテ理事長)
【司会】松本典子(駒澤大学教授)
【コメント】李 妍焱(駒澤大学教授)

49団体参加

第4回せたがや居場所サミットを企画している段階から私が感じていたのは
居場所というものそのものに生命力が備わっているのではないかという予感だった。
居場所というものが生まれると、育ち、繋がり、影響しあい、進化する。という流れが見えるような印象を受けたのだ。

現実問題として、一つのカテゴリーで始めた居場所も、単一のカテゴリーに対応するだけではままならなくなりほかのかたちを模索・挑戦し始める。
そうした仮説を立ててトークセッションのタイトルを「広がる居場所の役割」とした。

トークセッションで出された言葉をキーワードにまとめると。
安藤勝信(タガヤセ大蔵)
話し合いをする。それは対立ではない
お互いの理由を知ることで共存する。
(変えざるを得ないのなら)変えながら守る
川崎 修(一般社団法人ななつのこ)
地域に根付いた法人 利用者の中に人材がいた
ななつのこらしさは 自分たちではなく地域の人が主役 多様な色に染まる
今後の課題は中身のブラッシュアップ 特定の人による運営から世代交代
カフェのなかだけでなく烏山の街づくりに参加
(居場所づくりの中で組織の価値を)掛け算をしたのでなくかかっていった。

通信制高校性、昼間自由に時間が作れる人たちが初めての社会参加としてボランティア参加。
スタッフの得意分野を見つけ出す。
ミッションを文字にしない。議論はするキーワードは拾う
大事なことは文字化しない。
持続可能なあり方の模索

佐藤里子(NPO法人コスファ)
地域貢献型のグループに廉価に貸し出す。
運営 土地のオーナーが建物を建ててNPO法人が契約
意思決定 
女性の力、ジェンダー
話し合いでものごとを解決する
20年の歴史と今後。

前川哲弥(NPO法人ユメソダテ
夢・希望を周囲の大人が育てる
障害者の生涯教育
障害福祉サービスではなく教育的なユニットになる。

李 妍焱(駒澤大学教授)
出版される本のタイトルでNPO、公共性、社会起業家といった単語から居場所、コモンズがタイトルに含まれる本がじわじわと増えている。
分断と対立の時代に対峙する居場所の存在
社会的な価値をどう作って見せられるか
利益より社会的価値
協働で変えながら守る
理想だけでなく現実の中で折り合いをつける。

以下は開催後のコメントより。

中澤まゆみ
4回目の「せたがや居場所サミット」、展示参加49団体。お天気にも恵まれ、一般参加者も200人くらいが入れ替わり立ち代わり。今回の展示団体は子どもから高齢者までがバランスよく集まり、世田谷の居場所の層の厚さと多様さをまざまざと見せてくれました。こんなインクルーシブなイベントを市民主体(+大学の協力)で毎年開催しているところは、めったにない。「楽しかった~」と何人もの参加者から声をかけてもらいました。
やっていることはそれぞれ違うけど、求めているのは縦割りや排除の構造のない「ケアの社会」。小さなチカラをつなぐことで、誰もがはじき出されない社会をつくっていこうというネットワークです。会場では世代やジャンルを超えた展示団体や参加者が、熱心に語り合い、情報交換をする光景が。さて、来年はネットワークのその先を考えたいね、という声も出ました。

松本典子
第4回せたがや居場所サミット。
今回のトークセッションのテーマは、広がる「居場所」の役割。
4つの居場所報告をきいて、せたがやはローカルコミュニティの最前線だとおもいました。
なぜなら、どの居場所も、参加と協同・協働を実践すると一言でいっちゃうとそれまでだけど、参加したい人をやさしく包摂したり、参加する人たち1人1人が意見をいえるように場の形成を工夫してきたから。
今回のトークセッションで気になったキーワードは、守るべきものを守る/公との連携/みんなで参加型/参加型で市民を育てる/女性の参加と話し合い/価値観が違っても対話を深める/巻き込み力/事業承継。
ローカルがあるからソーシャルになるわけで、やはりローカルコミュニティがもっとも重要。そのローカルコミュニティ同士をつなぐために、せたがや居場所サミットの意味があるのかなと、駒大での開催3回目にしてきづきました。とすると、それを最初からみんなにやりましょうと声掛けしてきた中澤まゆみさんの巻き込み力は本当にすごいなと改めて実感した第4回でした。


まとめ

中澤まゆみさんの「おもしろいじゃない」を大きな意味で誤解していた。
中澤さんは自覚されていたと思うのだが、この4回を経て当初思い描いていたごちゃまぜが、想像以上の役割を果たすことになるなど破格におもしろいことになっていた。

せたがや居場所サミットは貴重な場を提供します。
出会い、刺激しあい、協力し合い、支えあう。そんな繋がりができる場を。

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