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「梅田哲也展・待ってここ好きなとこなんだ」と「Syn:身体感覚の新たな地平」と「ニューホライズン 歴史から未来へ」

私は“イマーシブシアター”と“ヒカリモノ”が大好きです。
これって単純すぎるのでしょうか?

2024年1月にワタリウム美術館で「梅田哲也展・待ってここ好きなとこなんだ」を観ました。
館内でスタート時間が来ると、演者が3人入れ替わりで出てきて、建物の中を(普段は入れないバックヤードなども含め)案内しながら、演劇的な物語や世界観を紡いでいくような“イマーシブシアター”です。
知人が「面白かったですよ」と紹介してくれたので行ってみましたが、現実と虚構(リアルな日常と、フィクションとして仕込まれたものとの境い目)があいまいになるような、不思議体験でした。あそこで黙って仕事している美術館スタッフがいるけど、あれは仕込み?演技?みたいな。
終わり方も「あれ?終わったのかな?」と放り出されたような感覚で。だから、終わってから帰る時も「あそこの工事現場とか、あの通行人とか、実は仕込まれたものじゃないのか」という疑いも生じて、足元がフワフワした感覚でした。

ちなみに2023年11月には、虎ノ門ヒルズtokyo nodeで「Syn:身体感覚の新たな地平 by Rhizomatiks×ELEVENPLAY」というイマーシブシアターを観たのですが、こちらはテクノロジーを駆使し、完全に作りこまれた体験でした。
自分たちの周りを、豪華にも十人以上の生身のダンサーが取り囲み、そこに映像が乗っかったものを3D眼鏡で観るという複雑さ。入場料の高さにも納得。同じイマーシブシアターと言っても、対極にあるような没入体験です。

表現様式として「イマーシブシアター」は非常に多様性があり、将来が楽しみな分野と言えるでしょう。近年のライブコンサート、テーマパークのアトラクション等も、これに含まれるかもしれません。
私個人は、古くは教会・寺社仏閣という空間で、お参り・お祈りするとか、宮殿・大邸宅という空間でセレモニー・パーティーを体験するとか、地域の祭りとかも「歴史性を兼ね備えたイマーシブシアター」と言ってよいと思います。

話を戻してその後は、麻布台ヒルズギャラリー「オラファー・エリアソン展」へ。以前やった東京都現代美術館での個展と比べると、作品展数は少ないです。でもやっぱり、光や運動そのものを扱う作家は、何と言っても美しく、かつ確かな技術と思想に裏打ちされていて興味深いです。“ヒカリモノ”大好きです。

2024年1月にはアーツ前橋の「ニューホライズン 歴史から未来へ」にも行きました。

美術館内だけでなく、前橋市中心市街地の各所も展示会場となっていて、なかなかの規模の芸術祭です。わざわざ遠いところに来たかいがあったな、と思わせてくれました。
一番の圧巻は(”ヒカリモノ”続きになって恐縮ですが)、レフィーク・アナドールの作品が、もーたまらん。
これも没入感のある映像作品です。色鮮やかな無数のキューブが、波のように押し寄せたり渦巻いたりします。プロジェクター照射じゃなくて、巨大なディスプレイ/サイネージであるところがミソです。輝きと表現力が全然違います。「ああ人間ってこんなに美しいものが作れるんだなあ。地球人もあなどーれないなあ」と心から感じ入りました。
そのほかには、ジェームズ・タレル、WOW、蜷川実花が設えた空間も最高で、涙がちょちょぎれましたよ。(死語?)見どころ満載でした。前橋まで遠征してよかった。

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