麻雀観戦記の書き方について
東川です。
みなさま、あけましておめでとうございます。2022年もMリーグや麻雀最強戦の観戦記を書かせていただくことになると思いますので、気にしていただけるとうれしく思います。
この仕事をしていると、たまに「観戦記ってどう書くの?」みたいなことを聞かれることがあります。ここで改めて、僕が観戦記を書くときのフローや気にしていることなんかをまとめていこうと思います。
なお、こちらは「僕が手探りで確立した方法」のまとめです。人によってやり方は違うと思います。個人としては、今でもやり方は模索していますし、質の向上や効率化など、よりよくしていくための方法などがあればぜひ取り入れていきたいです。以前から観戦記を書かれてきた人がどんなやり方をしてきたかも、興味があります。
観戦
観戦記を書くにあたっては、試合を観戦するのが前提。今では追っかけ再生や見逃し配信などもありますが、僕は基本的に、リアルタイムで視聴をするようにしています。
その際はただ漠然と見ているのではなく、メモを取りながら記事を書きます。メモには、「局の基本情報(何局でドラが何とか)」「印象的な一打」「仕掛けやリーチ」「局の結果」などの他、印象的に感じた場面なども記録していきます。
僕はルーズリーフにメモをしているんですけど、1局が3行で終わることもあれば1ページにわたることもあり、さまざまです。
テーマ決め・構成
試合が終わり、インタビューまで聞き終わった後には、観戦記のテーマや構成を考えます。基本的な方針は「その試合で一番目立っていた選手」を書くことになります。多くの場合、それは勝った選手になるのですが、負け方が印象的だった選手がいたら、そちらを取り上げることになります。また、大きなトピックスが出た場合は、優先的に書くことになるでしょう。
テーマに関してキンマwebサイドから指定されることはなく、完全に書き手に委ねられています。
誰をメインで書くかを決めたら、それを元に、メモの中から「大きく取り上げる局」「ちょっと触れる局」「全く触れない局」を選別していきます。あまり多くの局を取り上げると記事全体が忙しくなるので、僕の場合はだいたい、メインの局は2、3局に絞ります。これは、梶本琢程さんからこの仕事を始める前にいただいたアドバイスの一つです。
テーマ決めは観戦記を書く上で最も重要になる部分であり、ここが定まらなければ観戦記を書き始められません。すんなり決まればすぐに書けますし、逆にうまく定まらないときは何時間も書き始められない、なんてこともあります。
たまに、「この試合がこうなったらこう書く」とテーマを決め打ちして試合を見ることがあります。試合展開がそこにズバッとハマったら、めちゃくちゃ早く書けます。
なお、キンマwebの観戦記は、メインが2人以上の場合はアクセスやレスポンスが伸びにくい傾向があると聞いています。そのため、できるだけメインの選手は一人に決めるようにしているのですが、必ずしもそうなるとは限りません。
メインにする選手を決めかねている場合は「直近で取り上げられていない方のチームの選手を選ぶ」ようにしています。試合内容や書き手の好みなど、取り上げるチームはどうしても偏るところがあるので、そこのバランスをとっていければという感じです。あくまでも最後まで迷ったときの判断材料ですし、僕が個人的に意識しているだけの話なのですが。
タイトル
キンマwebの観戦記ライターの中にはタイトルをつけない人もいるようですが、僕は全ての記事に対してタイトルをつけて納品しています。
タイトルに関しては、最初の方は何回か修正がありましたが、今は特にありません。修正内容として多かったのが「選手の名前を入れる」というもので、おそらくこれはSEOの観点によるものだと思います。それに気付いてからは、僕もできるだけタイトルに選手名を入れるようにしています。
タイトルを決めるときは「その試合・その記事をひと言で表す」ことを意識しています。試合の中で最も目立っていた部分、記事の中で最も読ませたい部分を最初にアピールする、ということですね。
タイトルは記事を書く前に思いつくこともありますし、記事を書き終えてから決めることもあります。前者の場合、それだけテーマもハッキリ決まっているということなので、執筆も早く終わる傾向にあります。
執筆
では、実際の執筆です。僕の記事は大きく分けて
・前書き
・試合本編
・後書き
の3つに分かれます。前書きは、記事の枕・導入としてスッと入りやすいものを用意。あるいは、試合や記事の見どころなんかを先に紹介して、読んでいただきたいポイントを明確にする意味もあります。前書きは、試合前に書いていることもあります。
後書きに関しては、試合を見終えた、あるいは原稿を書き終えた後の感想みたいなものを軽く書いて、記事をきれいに締めくくるためのものです。
実際に試合を書くときは、テーマ決め・構成で選んだ局について、詳しい内容を書き進めていきます。以前はメモを元にして先に原稿を書いていたのですが、今は原稿を書きつつアーカイブを再生し、キャプチャを撮って記事に差し込みながら執筆をしています。
メモだけの場合、見落としや間違いもあるのでそこを正していく、という感じですね。個人的にはこちらの方が作業がしやすいし、時間も早いと思っています。
以前はミス防止のために牌画も埋めていたのですが、今は入れなくてもよくなりました。時間短縮となり、助かっています。
画像のキャプチャ
現在の観戦記で手間になるのが、画像のキャプチャでしょう。僕はMacを使っているのですが、Macの場合、「command+shift+5」を同時押しすると、画面の中の範囲を指定してキャプチャ画像を撮れます。これをABEMAの画像サイズに合わせて、キャプチャを撮っていきます。サイズはだいたい「894×501」です。
キャプチャを撮る際は、そのシーンを分かりやすく表せるものを使うよう心掛けています。フーロやリーチ宣言牌が指で隠れているとよくないので、そういうシーンでは何回もキャプチャを撮り直すこともあります。
小林剛選手は、フーロの際は必ず牌からいったん手を離し、画面に見せてくれます。観戦記でキャプチャを撮る際には本当にありがたい配慮です。
キャプチャした画像は指定のフォルダにストックされていきます。記事を書きながら画像を差し込み、記事が完成したら、画像をリネームします。僕の場合は、試合の日付と画像番号を1から振っていく、という形になります。だいたい1記事で30枚前後、多いと50枚を超えることもあります。
キャプチャ画像はリサイズをする必要があります。キンマwebで使われる画像のサイズは、横幅が640pxだからです。
僕の場合は、Photoshopでアクションを作っていて、自動でトリミング・リサイズ・保存まで行われるように設定しています。これである程度時間は短縮できるのですが、たまにサイズがミスっていて、変な余白が入ってしまることもあるので、画像についてはトリミング後に確認をしています。
キャプチャを撮る際は必ず、シークバーが入らないようにしています。なので一時停止が使えず、故に時間がかかることがある、ということですね。
作業時間
記事が完成し、画像のキャプチャもリサイズしたものが全てそろったら、記事内でファイル名(番号)と紐付けを行いつつ、記事を見直して修正箇所を直し、納品します。
作業時間に関してですが、試合観戦時間を除くと早くて2〜3時間、長いと6時間以上かかることもある、という感じです。試合そのものが長ければその分テーマや構成・取り上げる局を決めるのも難航しますし、難しい試合の場合は、書き方もかなり考えます。第2試合の担当の場合、試合が終わるのが11時前後なので、早くて2時前後、遅ければ夜明けまでかかることも。途中で集中が切れたときなんかはYouTubeを見たり天鳳の三麻をやったりして気晴らしをしています。どうしてものときは、仮眠を取ることもあります。
チェック
自分で記事を書いたことがある方だとお分かりいただけるかと思うんですけど、自分一人でのチェックの場合、どんなに見直したとしても、意外にミスが残っているものなんですね。また、少し時間を空けてから見直すことで、ミスや変な箇所に気づけることもあります。
ただ、今の体制では速報性が重視されているので、なかなかそこまで気づけないこともあります。もちろん編集サイドでもチェックし、その上でアップされているわけなのですが、アップされたものに関しては実際に僕も記事として読み、直してほしい部分があったときには、編集部に連絡を入れて直してもらいます。(だいたい寝起き、布団の中で)
一連の流れとしては、こんな感じです。
文字数
文字数については、キンマwebサイドからは最初に「2000文字以上」という指定をいただいています。これはSEO的な意味合いもあるとのことです。これは原則守りつつ、最近ではあまり長くならないようにして(2500文字程度を想定)、みなさんにスッと読み終えていただくことを心掛けています。あまり長々と書いてあっても読んでいてしんどいのではないのかなと思いますし、書くのも大変だし(笑)。
もちろん、試合内容が濃厚で書くことが多かった場合はその限りではないので、たまに超長い原稿を書くときもありますが、最後までお付き合いください。
麻雀最強戦の場合
Mリーグの観戦記は、基本的には長く試合に出続ける選手を取り上げます。一方で、麻雀最強戦は一発勝負の舞台であり、普段はなかなかABEMAの対局に出ない選手もいるので、最強戦に関しては基本的に、出た4選手を全員取り上げるようにしています。その分、記事も長くなる傾向にあります。書く内容に悩むことはあまりないのですが、Mリーグの観戦記とはまた違った大変さがあると感じています。
2022年も、みなさんに試合の魅力を伝えられる、追体験できるような観戦記を多く書いていければと思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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