不平等はなぜ生まれる? / 温暖化対策支援金は圧倒的に不足している。/学歴格差が生む米国の「絶望死」

覚えておきたい知識や記事の備忘録。

「不平等はなぜ生まれる?数字とデータで考える格差社会」

 私たちの世界は過去と比べて遙かに豊かになっているはずだった。金融市場の規模は拡大を続けている。
 しかしその一方で、基本的な生活すら難しい貧しい人々は日本国内にも世界全体にも何億人も存在している。

■格差社会とは?
 格差社会とは、所得、地域、ジェンダー、年齢、民族、障害、性的指向、階級、宗教などが原因で、アクセスや機会、結果が決定づけられる不平等な社会のことをいう。
 格差社会においては、富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなりその差が大きくなってしまうのが特徴。
 
 経済的に恵まれない家庭で育った子どもは、あらゆる機会へのアクセスが難しく、結果的に経済的に不利な仕事に就いていく。親が大学に行っていない子どももまた大学に行かない選択をしやすくなる。
 このように格差には、世代を越えて固定化・再生産されやすい。

 よく表面的に交わされる「貧困はデータで見ても減っている。」という言葉も、実態をみてると一党独裁の中国がその権力と資本力によって力業で貧困を減らしていった割合が大半を占めており、それらを除けば、国際社会で貧困を減らせている声高に言えるだけのデータなどない。私たちは、貧困を減らせていない。実態に即したデータを見なければ何も見ていないのと一緒だろう。

格差の中にも様々な種類が存在している。

①所得格差
 主にジニ係数などの指標で格差を測られることが多い。所得ジニ係数は1999年からほぼ右肩上がりに上昇を続けており(ジニ係数は1に近づけば近づくほど不平等度が高まることを意味するため)、所得分配の不平等化が進んでいる。

②教育格差
 教育格差とは、生まれた家庭や地域、周囲の環境によって受けられる教育に差が生じることを意味する。親の所得が低い家庭の子どもはそうでない家庭の子どもに比べて教育機会へのアクセスが制限され、結果として学力に差が生まれ、学校選択・職業選択、ひいては生活水準を左右することになる。そしてその子どもが教育格差に投げ込まれる負の連鎖が続いていく。 
 世帯の所得と子どもの学力には明確な関連があることは、さまざまなデータでも示されている。

③地域格差
 地域格差とは地域間で生じる格差のことで、所得や教育、学力、就職、生活水準や情報に接する機会など、さまざまな基準においての格差を含む。
 例えば、 2018年の東京都の一人当たり県民所得を比べると、一位は東京都の541.5万円。2位である愛知県の372.8万円とも大きな差があることがわかる。一方、最下位は沖縄県の239.1万円で、東京都の2分の1以下である。

 日本では戦後、三大都市圏を中心とした都市圏と、農漁村を含む地方圏との間での所得格差が続いてきた。こうした所得格差と人口移動の間には密接な関係があり、より所得の高い魅力的な地域に、若年層を中心に地方からの人口が流出(一極集中)してきた。そして現在の地方衰退の原因ともなっている。

④他にも情報格差、健康格差、男女格差、世代間格差、関心・行動格差など様々な格差が絡み合いながら存在している。

■格差社会を是正するには…?
 ここについては、後々まとめたい。

■ものさしの多様化
 記事の中で非常に本質的な観点が書かれていたなと思ったのが「ものさしの多様化」でした。
 現在、多くの場合に豊かさをはかる指標として、収入や資産の多さといった「経済的なものさし」が利用されます。そのたった一つのものさしに適合しない人は貧しい人や非効率な人間であると評価されてしまうことも多く、環境負荷もその指標に含まれてないからこそ人類は気候危機に直面することになっています。しかし、人間の幸福度が経済的な指標と比例関係にはないことは明らかになっており、むしろ、経済的指標とは関係ないような「自然」や「人との繋がり」や「やさしさ、共感」といったものが価値を持つことが分かっています。
 経済的指標に偏った価値観ではなく、1人1人の価値観に沿った無数のものさしが大事にされる社会を目指されるべきではないでしょうか。
 
 とはいえ、資本主義下によるお金の強制力をなくす仕組みを実装しない限り、このような理想的な社会を実現され得ないでしょう。
 自分はその必要条件を具現化していくことにコミットしてきたい。

(いつも読むのが楽しみなIDEAS FOR GOODさんの記事より引用。)


国連で米、温暖化対策の支援倍増を明言 それでも「足りない」

バイデン米大統領は21日、国連総会での演説で、途上国の温暖化対策を支援する資金を2024年までに倍増させると明らかにした。今年4月に自ら主催した気候変動サミットでは年間約57億ドル(約6300億円)への倍増を明言していたが、今回さらに年間約114億ドル(約1兆2500億円)まで増やすため、議会と取り組んでいくという。

 途上国に対する温暖化対策の支援をめぐっては、先進国の間で「20年に官民あわせて年間1千億ドルにする」という目標がある。ただ、経済協力開発機構(OECD)によると、19年時点で支援額は796億ドルにしか達していない。

 国連のグテーレス事務総長は20日、「この約束を守らないと、先進国と途上国の信頼関係が損なわれる大きな原因になる。先進国はこのギャップを埋める必要がある」と指摘していた。

 バイデン氏は演説で「米国は温暖化対策を支援するリーダーになる」と胸を張った。ただ、各先進国がどれだけ負担するかは、財政力や温室効果ガスの排出量によって異なる。英国のシンクタンク「海外開発研究所(ODI)」によると米国は約430億ドルの負担が必要だという。約114億ドルに増やしても、まだまだ足りていない状況だ。(ワシントン=合田禄)

学歴格差が生む米国の「絶望死」

 コロナ禍で世界最多の死者を記録している米国は、国民が世界で最も高い医療費を負担する国でもある。ノーベル賞経済学者のアンガス・ディートンさんは白人労働階級で増えた「絶望死」に着目し、学歴による寿命や生きがいの格差に警鐘を鳴らしてきた。この惨禍を機に米国の抱える「病」が改善する見込みはあるのか

「コロナ前から米国は世界で最も医療費が高額でした。にもかかわらず、平均余命は富裕な国々のなかで最低です。データを詳しく分析したところ、1990年代後半以降、薬物、自殺、アルコール性肝疾患による死亡率が、特定の社会層で上昇していることがわかりました。大学の学士号を持たない人々でした。私はこの広い意味で自死と呼べる死を、絶望がもたらした死と名付けました」 -ノーベル賞経済学者のアンガス・ディートン-

ここで語られているように、学歴によって生きる希望に覆しようのない格差が生まれている。

 米国の経済成長は、大卒層の一部にこそ成功をもたらしましたが、大半の大卒、非大卒層には何ももたらしませんでした。非大卒の良い雇用は減り続け、賃金の中央値は半世紀以上も下がり続けています。土地や株式など資産の保有比率は90年代半ばまで大卒と非大卒で半分ずつ分け合っていましたが、今は大卒が4分の3を保有している。

 非大卒は結婚もしにくく、子どもを持つ場合でも未婚で産み、ひとり親で育てなければならないケースが多い。見逃せないのが、心理的、肉体的な様々な『痛み』を訴える声が増えていること。彼らが精神的なよりどころを失い、人生がばらばらに砕けていく感覚に陥った時、ましな選択肢として選ばれたのが薬物だった…。



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