⚖️Pl480という条約について教えてください

PL 480 (Public Law 480) は、正式には「食糧支援計画」(Food for Peace Program)として知られるアメリカ合衆国の法律です。1954年に施行されたこの法律は、農産物を使用した国際的な食糧援助を行うための枠組みを提供します。このプログラムは、米国の余剰農産物を利用して、食糧不足に悩む開発途上国への支援を行うことを目的としています。

PL 480は3つの主要な目的を持っています:

  1. 人道的援助: 飢餓や栄養不足に苦しむ人々への食糧供給を行い、人道的な危機を緩和すること。

  2. 経済支援: 開発途上国の経済成長を促進し、農業やインフラの発展を支援すること。

  3. 米国の農産物の市場拡大: 米国の農産物の需要を高め、余剰農産物を適切に処理することで、国内農業経済を支えること。

PL 480 はいくつかの「タイトル」に分かれており、それぞれが異なる目的を持っています。たとえば、「タイトル I」は融資による食糧輸出を、「タイトル II」は無償の食糧援助を提供するためのもので、「タイトル III」は開発途上国の政府に対する無償食糧援助を目的としています。

このプログラムは、冷戦時代には、アメリカが発展途上国に対して影響力を維持するための手段としても機能しました。現在でも、PL 480 は食糧援助の主要なツールとして国際的な人道援助に貢献しています。

日本も結んでますか?

はい、日本もPL 480に基づく食糧援助を受けたことがあります。特に戦後の復興期において、PL 480は日本にとって重要な食糧援助プログラムでした。

1950年代から1960年代にかけて、日本はPL 480プログラムの下でアメリカから小麦やトウモロコシなどの農産物を輸入しました。これにより、戦後の食糧不足を補い、日本経済の復興に寄与しました。特に小麦粉を使用したパンやラーメンなどの食品が日本国内で普及し、食文化にも大きな影響を与えました。

この援助は、日本が自立した経済力を持つようになるまでの過渡期に大きな助けとなり、日米関係の強化にも貢献しました。その後、日本が経済的に成長し、食糧の自給が可能になると、PL 480に基づく援助は必要なくなり、終了しました。

現在、日米間で締結されている類似の条約として、食糧援助に直接的に関わるものはありませんが、以下のような条約や協定が日米間で結ばれ、食糧安全保障や農業分野に関連しています。


### 1. **日米食糧安全保障協議**

   - **概要**: 日米間では、食糧安全保障に関する協議が行われており、農業貿易や食糧供給の安定性についての意見交換が行われています。これは正式な条約というよりは、定期的に行われる二国間の協議であり、貿易や食糧安全保障の観点から両国間の協力を深めるための場です。


### 2. **日米農業貿易協定**

   - **概要**: 2019年に締結された「日米貿易協定」は、農産物の関税引き下げや市場アクセスの改善に焦点を当てたものです。この協定により、アメリカから日本への農産物の輸出が促進され、食糧供給の安定に寄与しています。

   - **関連性**: この協定は直接的な食糧援助ではありませんが、日米間の農産物貿易を円滑にし、日本の食糧供給を安定させる一因となっています。


### 3. **日米地球規模の課題に関する協力**

   - **概要**: これは、食糧安全保障を含む地球規模の課題に対処するための協力を強化するための枠組みです。具体的には、農業の持続可能性や食糧安全保障に関する研究や技術の協力などが含まれます。

   - **関連性**: これも直接的な食糧援助条約ではありませんが、食糧安全保障の強化に向けた日米間の協力を反映しています。


### 4. **日米科学技術協力協定**

   - **概要**: この協定は、広範な科学技術分野での日米間の協力を促進するものであり、農業科学やバイオテクノロジーなども含まれます。これにより、食糧生産技術や農業の持続可能性に関連する研究が推進され、食糧安全保障の強化に寄与しています。


これらの協定は、食糧援助という観点からはPL 480のような性質を持つものではありませんが、日米間での食糧供給や農業の安定を支えるための重要な枠組みです。直接的な食糧援助条約は存在しないものの、これらの協定を通じて日米間の食糧安全保障や農業分野での協力が行われています。


いいなと思ったら応援しよう!

あたり帳簿
お願い致します