プルードンとストールマンは言ってることに共通性ありそうですか?

ピエール・ジョゼフ・プルードンとリチャード・ストールマンには、共通する理念がいくつか見られますが、そのアプローチや文脈は大きく異なります。両者の共通点と相違点を以下に整理します。


共通点

  1. 権威や独占への反発

プルードン: 彼の有名なフレーズ「財産とは窃盗である」(La propriété, c'est le vol!) は、土地や生産手段を少数の特権階級が独占することへの批判を表しています。彼は、自由な協働や共有を促進する経済モデルを提唱しました。

ストールマン: フリーソフトウェア運動を通じて、ソフトウェアの独占(特に著作権や特許)に反対し、コードを自由に共有・改変できるよう求めています。これは「情報の自由」の追求とも言えます。

  1. 共有の重要性

プルードン: 労働者間の相互扶助や共同体による共有を重視し、平等な経済システムを理想としました。

ストールマン: ソフトウェア開発の分野で、オープンソースやフリーソフトウェアを用いて技術と知識を共有する重要性を訴えています。

  1. 中央集権の拒否

プルードン: 国家や教会などの中央集権的な権威を否定し、権威から解放された水平的な社会を理想としました。

ストールマン: 特定の企業や政府がソフトウェアや情報を支配することに反対し、個々の開発者や利用者が自律的に行動できる仕組みを求めています。

  1. 自由の追求

両者とも、個人やコミュニティの自由を最重要視しています。

プルードンは、経済的・社会的な自由を目指しました。

ストールマンは、技術的・情報的な自由を目指しました。


相違点

  1. 対象の違い

プルードン: 主に経済や社会全体の構造を批判し、労働者階級や生産手段の共有を重視しました。

ストールマン: ソフトウェアや技術的な領域に限定し、知識や情報の共有を中心に活動しています。

  1. アプローチ

プルードン: 社会的な連帯や協同組合を通じて、階級や経済的不平等を解消しようとしました。

ストールマン: フリーソフトウェア財団(FSF)の設立やGNUプロジェクトなど、実際のソフトウェア開発を通じて目標を達成しようとしました。

  1. 個人とコミュニティのバランス

プルードン: 個人の自由を尊重しつつも、コミュニティの平等性と相互扶助を強調しました。

ストールマン: 個人の自由(特に技術的自由)を最大化することに重点を置きますが、コミュニティへの明確な関与はプルードンほど強調されていません。

  1. 時代背景

プルードン: 19世紀半ばの産業革命と階級闘争が彼の思想に影響を与えました。

ストールマン: 20世紀後半から21世紀のデジタル時代を背景に、ソフトウェアと知的財産権の問題に取り組みました。


結論: 共通性はあるが、文脈が異なる

プルードンとストールマンは、共有や中央集権への反発といった理念を共有していますが、その文脈や具体的な目的は異なります。プルードンは経済的不平等の解消を目指す社会改革者であり、ストールマンは技術分野での自由を推進する活動家です。

もしプルードンが現代に生きていれば、ストールマンのフリーソフトウェア運動を支持し、「技術的財産」にも「窃盗」という視点を適用したかもしれません。一方で、ストールマンの活動が経済や社会全般に広がることは少なく、あくまで技術分野に特化している点が違いとして残ります。

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